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戸建住宅の売却の進め方|相場・売却ステップ・高く売るポイントを解説

戸建住宅の売却は、マンション売却とは異なる手続きや注意点が多くあります。

特に境界確定や建物の劣化状況の確認など、土地と建物の両面で検討すべき項目が増える点が特徴です。

この記事では、戸建住宅の売却の基礎知識から2026年の最新相場、売却ステップ、高く売るためのポイントまで解説します。

1.戸建住宅の売却とは

戸建住宅は一軒家とも呼ばれ、独立した住宅が土地とセットになっているものを指し、集合住宅であるマンションやアパートと区別されます。

戸建住宅の売却方法には、媒介契約を結んで個人などへ販売する仲介と、不動産会社に直接買い取ってもらう買取の2種類があります。

仲介は市場価格に近い金額で売却しやすい点がメリットですが、買主が見つかるまで時間がかかる傾向です。

一方、買取は不動産会社が直接買主となるため、現金化のスピードが早いという特徴があります。

2.2026年4~6月版|戸建住宅の売却相場

戸建住宅の売却を検討する際は、まず最新の市場相場を把握することが大切です。

公益財団法人東日本不動産流通機構(REINS)が公表している季報 Market Watch サマリーレポート2026年4~6月期によると、中古戸建住宅の成約件数は5,693件となっており、成約物件の平均価格は4,129万円です。

地域によって価格帯はばらついている傾向があり、東京都区部では平均価格が更に高く、郊外エリアでは比較的低めの傾向があります。

なお、これらは首都圏全体の平均値であり、個別の物件価格は立地・築年数・土地の広さなどで大きく変動します。

今後売却を検討している自宅周辺の戸建住宅の取引相場を調べるには、REINSが運営する不動産取引情報提供サイトなどを利用しましょう。

過去に成約した物件の所在地・面積・築年数・成約価格などを地域別に検索でき、適正価格の判断材料として役立ちます。

3.戸建住宅の売却のステップ

戸建住宅の売却を完了させるまでのステップを順を追って解説します。

戸建住宅の売却のステップ

  1. 境界確定と測量の確認
  2. 建物の状態確認・ホームインスペクション
  3. 必要書類の準備・相場の確認
  4. 査定の依頼
  5. 媒介契約の締結
  6. 内覧対応
  7. 売買契約

おおまかな流れを把握しておくと、各段階で何を準備すべきかが分かるでしょう。

(1)境界確定と測量の確認

戸建住宅を売却する際はまず、土地の境界確定と測量を実施しましょう。

境界が曖昧なまま売却を進めると、買主とトラブルになったり、成約価格が低下したりする可能性があります。

境界確定と測量は土地家屋調査士に依頼するのが一般的であり、隣地との境界を明確にしたうえで確定測量図を作成してもらいます。

なお、確定測量にはおおむね1〜3か月程度の時間がかかるため、なるべく早めに依頼をしておくのがおすすめです。

(2)建物の状態確認・ホームインスペクション

建物の劣化状況や不具合を把握するために、ホームインスペクションを受けておきましょう。

ホームインスペクションでは、専門家から住宅の構造や設備の劣化状況を客観的に診断してもらえます。

診断結果を売主・買主双方が共有することで、引渡し後のトラブルを未然に防げます。

費用はおおむね5万〜10万円程度かかりますが、買主の信頼獲得や売却価格の維持につながります。

(3)必要書類の準備・相場の確認

売却に必要な書類として、以下のものが挙げられます。

売却に必要な書類

  • 登記済権利証または登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書
  • 建築確認済証・検査済証
  • 確定測量図・境界確認書
  • 建物の図面
  • 本人確認書類

早めに準備しておくことが、スムーズに手続きを進めるうえで重要です。

(4)査定の依頼

書類が揃ったら、不動産会社へ査定を依頼しましょう。

査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があるため、まずは机上査定でおおまかな相場を把握したうえで、依頼したい不動産会社が見つかったら訪問査定で正確な査定額を出してもらいます。

複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠を比較することで、信頼できる業者を見極めやすくなります。

なお、買取を依頼する場合には、査定の結果を踏まえて、買取を依頼する不動産会社を選び、売買契約に進みます。

買取を利用するメリットやデメリット、流れなどについては以下の記事をご覧ください。

(5)媒介契約の締結

査定結果を踏まえて依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結しましょう。

媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

専属専任媒介と専任媒介は1社のみと契約する形式で、報告頻度が高く積極的な販売活動を期待できる点がメリットです。

一般媒介は複数社と契約できる形式で、幅広く買主を募集したい場合に向いています。

物件の特性や売却方針に応じて、最適な契約形態を選択しましょう。

(6)内覧対応

媒介契約後は、購入希望者からの内覧依頼に対応していきます。

内覧時の印象が成約に大きく影響するため、室内の清掃や整理整頓は欠かせません。

特に水回りや玄関、リビングなど、買主が重視するポイントを重点的に整えておきましょう。

また、建物の良い点だけでなく、不具合や注意点も誠実に説明すると、買主からの信頼を得られます。

(7)売買契約

買主が決まったら、売買契約を締結します。

売買契約では、価格・引渡し時期・契約不適合責任の範囲などを明確に取り決めるのが一般的です。

契約後、買主からの代金受領と引渡しが完了すれば売却は終了となります。

なお、戸建住宅の売却の際に売却益(譲渡所得)が生じた場合は、翌年に確定申告が必要です。

マイホーム売却の場合は各種特例が適用できるケースもあるため、税理士に相談しながら手続きを進めましょう。

より詳しい流れについては、こちらの記事を参考にしてください。

4.戸建住宅の売却がマンションより難しいとされる理由

戸建住宅はマンションと比較して売却に時間がかかるケースがあります。

その理由として、以下のようなものがあります。

戸建住宅の売却がマンションより難しいとされる理由

  1. 建物の資産価値低下が早い
  2. 需要が限定的になりやすい
  3. 維持・管理に手間がかかる

(1)建物の資産価値低下が早い

戸建住宅の建物部分は築年数によって段階的に資産価値が下がっていきます。

特に木造住宅の場合、税法上の法定耐用年数は22年とされており、これが金融機関の評価にも影響しますので、築22年を超えると建物の担保評価がほぼ0になるケースがほとんどです。

そのため、築古の戸建住宅では土地の価格での評価が中心となり、思っていたよりも低い査定額になる傾向があります。

ただし、立地条件が良好な場合や、適切なメンテナンスが行われている物件では、築年数が経っていても一定の評価を得られることもあるので、不動産会社による査定結果や査定根拠をよく聞いておきましょう。

(2)需要が限定的になりやすい

戸建住宅の需要は、マンションと比較すると限定的です。

マンションは独身者や投資目的の人などにも需要がありますが、戸建住宅を購入する人はファミリー層・郊外に住みたい人が中心です。

また、戸建は2~3階に分かれていて階段もあるため、間取りのパターンが多く、好みの間取りを見つけにくいという特徴もあります。

このため、購入を希望する対象者が限定され、なかなか買い手候補が見つからないこともあるでしょう。

(3)維持・管理に手間がかかる

戸建住宅はマンションとは異なり、外壁・屋根・庭・配管などの修繕やメンテナンスを所有者が個別に実施しなければなりません。

そのため、購入後の維持管理コストや手間が懸念材料となり、買い手から敬遠されやすい傾向にあります。

売主側でできる対策としては、定期的なメンテナンス履歴や修繕履歴を整理して買主に提示する方法があります。

修繕の履歴を残しておくことで建物の状態を証明するとともに、買い手の不安を減らせるでしょう。

5.戸建住宅の売却でやってはいけないこと

戸建住宅の売却では避けるべき三つの行動があります。

戸建住宅の売却でやってはいけないこと

  1. 自己判断で解体・更地にする
  2. 大掛かりなリフォームをしてから売り出す
  3. 付帯設備や不具合を隠して売却する

良かれと思った行動が逆効果にならないように、しっかりNG事項も覚えておきましょう。

(1)自己判断で解体・更地にする

戸建てを売却する際に、自己判断で建物を解体したり、更地にするのはやめましょう。

まず、建物の解体には数百万円程度の費用がかかり、それだけでもかなりの費用負担となります。

また、更地にすると住宅用地として認められていた固定資産税の軽減措置が外れ、売却活動が進まない場合には、その間の固定資産税の負担額も上がる可能性があります。

古家付き土地として売り出し、リフォーム希望の買い手を探すほうが需要が高い可能性もあるため、解体の判断は不動産会社とよく相談しましょう。

(2)大掛かりなリフォームをしてから売り出す

売却前の大掛かりなリフォームもおすすめしません。

リフォーム費用を売却価格に上乗せできない可能性が高く、最終的に損失になる可能性があるからです。

売主が行うべきは、ハウスクリーニングや軽微な修繕など、買主の印象を整える最小限の対応です。

大規模なリフォームは控え、現状のまま売り出すか、不動産会社と相談しながら判断しましょう。

(3)付帯設備や不具合を隠して売却する

付帯設備や不具合を隠したまま戸建住宅を売却してはいけません。

売主には、買主に対して物件の状況を正確に告知する義務があります。

雨漏り・シロアリ被害・配管の不具合などの瑕疵を隠していた場合、契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除につながる可能性があります。

物件状況確認書に正直に記載し、買主に共有するようにしましょう。

6.戸建住宅を高く売却するためのポイント

戸建住宅を少しでも高く売却するためには、以下のような準備が必要です。

戸建住宅を高く売却するためのポイント

  1. 建物の状態を説明する資料で買主の不安を解消する
  2. 境界・越境問題を売り出す前に解消しておく
  3. 築年数に応じて売却方法を選ぶ
  4. 外構や庭・駐車場の第一印象を整える

(1)建物の状態を説明する資料で買主の不安を解消する

戸建ての売却価格を上げるには、買主の不安を払拭する情報提供が重要です。

具体的には、ホームインスペクションの報告書や、過去の修繕履歴・リフォーム履歴を整理して提示しましょう。

また、既存住宅売買瑕疵保険への加入も、買主の安心材料となる場合があります。

(2)境界・越境問題を売り出す前に解消しておく

土地の境界が曖昧であったり隣地との越境問題がある場合、買主からの値引き交渉の材料となりやすいです。

越境問題とは、樹木の枝・塀・配管などが境界を越えている状態を指します。

これを防ぐためには売り出す前に境界確定測量を実施し、確定測量図を取得しておきましょう。

また、越境物がある場合は、隣地所有者と覚書を交わし、将来の処理方針を明確にしておくのが重要です。

(3)築年数に応じて売却方法を選ぶ

戸建住宅は築年数によって最適な売却方法が異なります。

築10~20年程度の戸建住宅はリノベーションが可能な住宅として購入希望者にアピールできます。

一方、築25~30年を超える戸建住宅は、建物の資産価値がほぼなくなっているため、古家付き土地として売り出すのが現実的です。

物件の状態と需要層を見極めて、最適な売出の方法を選択するようにしましょう。

(4)外構や庭・駐車場の第一印象を整える

戸建住宅の売却では、外観の第一印象が成約に大きく影響します。

内覧時に最初に目に入るのは、外構・庭・駐車場などの外回り部分だからです。

雑草の除去・植栽の剪定・駐車場の清掃・玄関周りの整理を行い、清潔感のある印象を演出しましょう。

これらは費用をかけずにできる対策が多く、内覧での印象アップに即効性があるため、必ず実施しておいてください。

まとめ

戸建住宅の売却を成功させるためには、境界確定・建物状態の確認・必要書類の準備など、段階を踏んだ計画的な進め方が欠かせません。

戸建住宅を購入したがる層のニーズをうまく汲み取り、建物や立地のアピールを適切に訴求しながら売却活動を進めていきましょう。

スムーズに売却したいなら、経験豊富な不動産会社への依頼も重要です。

戸建住宅の査定を複数の不動産会社へ依頼したうえで、査定結果だけでなく、対応や提案の内容も見ながら信頼できる業者を見つけてください。

監修者

塚田 拓士

不動産鑑定士

新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。