不動産買取とは?仲介との違いやメリット・デメリット、買取業者の選び方を徹底解説
「不動産買取とは?」
「仲介と比べてどちらが適しているのか知りたい」
この記事では、不動産買取の仕組みや仲介との違い、メリット・デメリットから業者の選び方まで、不動産買取を検討している方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
1.不動産買取とは?

不動産買取とは、不動産会社(買取業者)に物件を直接買い取ってもらう方法です。
一般的な仲介売却とは異なり、買主を探す期間が短くてすむため、スピーディーに現金化できるという特徴があります。
不動産の売却方法には、大きく分けると「仲介」と「不動産買取」の二つがあります。
仲介は不動産業者が売主と買主の間に入り、一般の個人などへ売却する一般的な方法です。
売主が媒介契約を不動産業者と締結し、不動産業者が買主を探してマッチングさせ、双方の合意をとって売却に至ります。
一方、不動産買取とは不動産会社(買取業者)が直接買主となり、物件を買い取ることを指します。
買取業者に直接連絡すれば、買主探しという工程がほぼ必要なくなるため、手続きの流れが簡単であり、売却期間が比較的短期なのが特徴です。
買い替えやローン返済、納税などで急いで現金化が必要なケースや、遠方で何度も内見の立ち合いに行けない物件など、様々な事情に応じた選択肢として注目されています。
2.不動産買取の種類

不動産買取には、主に「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。
それぞれ仕組みや向いている状況が異なるため、違いを把握しておくことが大切です。
(1)即時買取
即時買取とは、買取業者が査定額を提示し、売主が合意した時点ですぐに買取を進める方式です。
買取業者に連絡するだけで、買主を探す活動は一切行われず、買取業者へ直接売却するため、1か月以内に現金化を図れます。
この方法のメリットは売却期間が短いことですが、その一方で買取相場は市場価格の5〜8割程度になることが多いです。
とにかくスピード優先で現金化したい場合や、物件の状態が悪く市場に出しにくい場合などにおすすめの方法となります。
(2)買取保証
買取保証とは通常売却と不動産買取のハイブリッド的な方法です。
まずは不動産業者が仲介として一般市場で不動産の販売活動を実施し、一定期間中に売れなかった場合には、不動産会社が事前に提示した価格で買取を行う、つまり、売れない時には、不動産会社が買取業者になる方法です。
この方法では一般的に3か月程度売却の期間が取られるため、この期間中に物件が売れれば、市場価格で不動産が売れる可能性があるのがメリットです。
また、仮に売れなくても事前に提示した金額で不動産業者が買取を行うため、売れ残りのリスクも回避できます。
ただし、この方式はすべての業者が対応しているわけではなく、比較的大手の不動産会社でのみ対応していることが多いです。
また、仲介期間中は他社への切り替えができず、1社でしか売却活動ができない点にも注意しましょう。
3.不動産買取と仲介による売却の違い

不動産買取と仲介による売却では、取引の仕組みや条件が大きく異なります。
- 手続きの違い
- 不動産の売却価格が決まる仕組み
- 手取り額や手数料の違い
どの方法を選ぶべきか検討するためにも、主な違いを把握しておきましょう。
(1)手続きの違い
不動産買取と不動産の仲介では、取引の仕組みそのものが異なります。
以下の表で主な違いを整理します。
| 比較項目 | 買取 | 仲介 |
| 買主 | 不動産会社(買取業者) | 一般個人、不動産業者など |
| 売却期間 | 最短数日〜1か月 | おおむね3〜6か月 |
| 売却価格 | 市場価格のおおむね5〜8割 | 市場価格に近い |
| 仲介手数料 | 不要 | 売却価格×3%+6万円(上限) |
| 契約不適合責任 | 原則として免責 | 一定期間売主が負うことが多い |
| 内覧対応 | ほぼ不要(あっても1回) | 複数回必要 |
| 広告掲載 | なし(周囲に知られない) | あり |
なお、買取と仲介の大きな違いとして、広告の掲載の有無があります。
基本的に不動産買取の場合は広告を掲載する必要がないため、物件が売りに出ている情報は周囲に知られません。
そのため、物件を売ることを知られたくない人が、不動産買取を利用することも多いのです。
(2)不動産の売却価格が決まる仕組み
不動産買取の価格は、基本的に市場価格を参考に算出され、その5〜8割が相場となっています。
つまり、市場価格が4,000万円の場合の買取額は、2,000〜3,200万円程度です。
なぜ市場価格より買取価格が安くなるかというと、そもそも不動産買取は買取業者が物件を買いとったのちに転売することを前提にしているからです。
不動産買取業者は買い取った物件をリフォームするなどして付加価値を高め、一般消費者に売れる形にしてから売却して利益を得ます。
そのため、市場価格からリフォーム費用や広告費、売れ残りリスクなどを差し引いた金額が買取価格です。
一方、仲介で売却する場合の価格は、類似物件の取引事例をもとに売出価格が設定され、最終的には市場の需要によって取引価格が決まります。
そのため仲介は市場価格に近い価格での売却が可能です。
(3)手取り額や手数料の違い
不動産買取は売却価格が通常売却よりも下がり、おおよそ市場価格の5〜8割となるのが一般的です。
これだけみると仲介の方が得になりそうですが、買取の場合には仲介手数料がかからないため、事前に買取のシミュレーションを実施し、手取り額を確認してから決めるのがおすすめです。
例えば、3,000万円の物件を仲介で売却した場合には、仲介手数料が96万円(3,000万円×3%+6万円)かかり、これを差し引くと手取り額は約2,904万円です。
一方で買取では売却額がおおよそ1,500万〜2,400万円となりますが、仲介手数料はかかりません。
額面で見ると数百万円の差が出ますが、仲介では販売期間が長引き、値引きを余儀なくされ、結果的に手取り額に差が出ないケースもあります。
仲介の場合にかかる手数料については、以下の記事で詳しく解説しています。
4.不動産買取を利用するメリット

不動産買取か、仲介による売却を選ぶか迷ったら、双方のメリットをよく比較しましょう。
特に不動産買取を利用するメリットとしては、以下のものが挙げられます。
- 短期間で現金化できる
- 仲介手数料が不要・諸費用が少ない
- 契約不適合責任が原則として免責される
- 周囲に知られずに売却できる
(1)短期間で現金化できる
不動産買取の最大の強みは、スピードと確実性です。
買取業者を見つけることができれば、買主探しが不要なため、条件が合えば査定から最短数日〜1か月程度で売却・現金化が完了します。
そのため、住み替えのスケジュールや相続税の納税期限、資金繰りなど、明確な期限がある場合に特に有効な手段です。
また、買取業者はローン特約なしで買い取るケースがほとんどであり、仲介での売却のように買主の住宅ローン審査が通らずに契約が白紙になるリスクもない点も安心です。
(2)仲介手数料が不要・諸費用が少ない
不動産買取は仲介手数料が不要で、諸費用が少ない点がメリットとなります。
不動産会社(買取業者)が直接の買主となるため、仲介手数料が発生しません。
また、購入希望者の内覧対応のための清掃費用やリフォーム費用も原則として不要です。
売主の実質的な持ち出しが少ない点は、手元に残る資金を重視する方にとって大きなメリットでしょう。
(3)契約不適合責任が原則として免責される
仲介で不動産を売る場合は、雨漏りなど、契約書の内容と異なる状態の物件の引渡しをしたことが発覚すると、売主は「契約不適合責任」を問われます。
しかし買主が宅建業者(不動産会社)の場合、売却後に欠陥が発覚しても売主は特約により責任を負わないケースが多いです。
そのため、古い物件や状態の悪い物件でも安心して売却できます。
ただし、売主が重大な瑕疵を意図的に隠したような場合は例外となることがある点には注意しましょう。
(4)周囲に知られずに売却できる
不動産買取ではチラシ、インターネット広告の掲載がなく、近隣・職場・親族などに売却の事実を知られずに手続きを進められます。
一方で通常売却は広く買主を募集しなければならないため、広告の掲載は避けられません。
広告を通じて近隣の人などに物件が売りに出ていることを知られ、事情を詮索されたりすることもあるでしょう。
相続や借金など、売却の事情を周囲に知られたくないようなケースでは、不動産買取のほうがプライバシーを守れます。
5.不動産買取のデメリット

不動産買取にはメリットがある一方、注意すべき点もあります。
- 売却価格が市場価格より安くなる
- すべての物件が対象になるわけではない
(1)売却価格が市場価格より安くなる
不動産買取の最大のデメリットは、売却価格が低くなる点です。
買取業者がリフォーム費用・再販コスト・自社の利益を見込んで買取価格を算出するため、どうしても市場価格よりも低くなりがちです。
物件の立地がよく、比較的築浅などの場合は仲介による売却の方が有利になることもあるため、物件の条件も考慮しながら検討しましょう。
(2)すべての物件が対象になるわけではない
不動産買取の対象となるのは、あくまで再販可能な見込みがある物件です。
再建築不可物件・著しく老朽化した物件・権利関係が複雑な物件などは、買取を断られるケースがあります。
しかし、なかには訳あり物件専門の買取業者もあるため、物件の状況に応じて問い合わせするのがおすすめです。
また、とある買取業者に買取を断られた場合でも、ほかの買取業者に買い取ってもらえるケースもあります。
1社に限定せず広く問い合わせをして、物件買取が可能な会社のなかから、条件が良い業者を選びましょう。
6.不動産買取を利用する場合の流れ

不動産買取の手続きは、仲介に比べてシンプルで短期間に完結します。
- 査定の依頼
- 現地調査・査定額の提示
- 買取価格の交渉と合意
- 売買契約・手付金の受領
- 残代金の決済・引渡し
- 確定申告
おおまかな流れを把握しておくと、スムーズに進めやすくなるでしょう。
(1)査定の依頼
まず買取会社に机上査定を依頼します。
机上査定とは、物件の所在地や築年数・面積などの基本情報から概算の査定額を算出する方法です。
複数社に依頼して査定額を比較することで、相場感を把握することができます。
(2)現地調査・査定額の提示
机上査定の結果から数社の買取業者を絞り込み、本査定を依頼します。
当日は担当者が現地を訪れ、室内の状態や設備の劣化具合などを直接確認したうえで、正式な査定額が提示されます。
また、リフォームの必要性や物件が抱える問題点があればこの時点で担当者から説明を受けられる場合もあります。
机上査定と現地調査後の査定額には差が生じることもあるため、この段階での金額を基準にして、仲介か買取かを選ぶのが重要です。
(3)買取価格の交渉と合意
不動産買取を選んだ場合は、買取業者から買取価格の提示が行われます。
この時点ではあくまで提示なので、すぐに売却する必要はありません。
提示額に納得できれば契約を締結し、売却へ進んでいきます。
もしも提示額に納得がいかない場合は交渉も可能なので、希望額を提示して、金額を近づけられるように話し合いましょう。
(4)売買契約・手付金の受領
金額面で合意ができたら、その条件に基づいて売買契約書を作成し、契約を締結します。
基本的に契約書は買取業者が作成しますが、事前に話し合った条件と齟齬がないか、しっかり読み込むことをおすすめします。
必要に応じて、有料になりますが、弁護士に内容を確認してもらうのもおすすめです。
問題がなければ売買契約を締結し、手付金を受け取りましょう。
(5)残代金の決済・引渡し
物件の引渡しと同時に、残代金の決済が行われます。
なお、引渡し前には、契約時の状態と変わっていないかを確認する最終チェックを実施するのが一般的です。
問題がなければ鍵や登記済証などの関連書類も引き渡し、取引は完了です。
不動産買取の場合はここまで1〜2週間で手続きが終わるケースが多く、スピーディーに引渡しまでが進みます。
(6)確定申告
売却益(譲渡所得)が生じた場合、翌年に確定申告が必要となります。
不動産の売却益は「譲渡所得税」の課税対象となり、所有期間によって税率が異なる点に注意が必要です。
一定の条件を満たせば特別控除や軽減税率の適用を受けられる場合もあるため、税理士への相談も検討しましょう。
7.悪質な不動産買取業者を避けるためのポイント
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不動産買取では、残念ながら悪質な業者によるトラブル事例も存在します。
- よくある悪質な手口について理解しておく
- 複数の不動産会社の査定を受ける
- 実績豊富な不動産会社を選ぶ
(1)よくある悪質な手口について理解しておく
悪質な業者が使う手口には、いくつかの典型的なパターンがあります。
- 極端に高額な査定額を提示する
- 小切手や手形での支払いを求める
- 契約後に追加費用を要求する
事前にパターンを把握して少しでも違和感を覚えたら、契約を進めないようにしましょう。
1:極端に高額な査定額を提示する
悪質な不動産買取業者でよくある手口が、高額な査定額を提示して契約し、契約後に物件の状態や市場を理由に大幅な減額を要求する手口です。
「他社よりも高く買い取ります」と言うものの、実際には様々な理由をつけて買取価格を下げ、結果的に物件を安く買うことがあります。
もしも査定額が他社より極端に高い場合は、その根拠をしっかり確認しましょう。
納得のいく根拠がない場合、また提示額の変更条件が買取業者側に有利なものの場合は、契約を急がず他社とも比較するようにしてください。
2:小切手や手形での支払いを求める
一般的な不動産業者は、残代金の決済を銀行振込などの現金で行います。
小切手や手形での支払いを提案してくる業者は、後々不渡りになって換金できないという詐欺的な手口である可能性があるため、要注意です。
「すぐに現金化できる」などと言葉巧みに誘導してくるケースもありますが、小切手や手形を使う業者は現時点で現金を用意できていない可能性が高いです。
決済方法については契約前に必ず書面で確認し、銀行振込などの現金払い以外を求めてきた場合はその業者との取引を見直したほうが安全でしょう。
3:契約後に追加費用を要求する
買取では基本的に売主の費用負担はありません。
しかし、契約後になって不用品の処分費用や手数料などの名目で追加費用を請求してくるケースがあります。
「契約書に記載がある」と言われてしまうと反論が難しくなるため、契約前に費用に関する条項を細部まで確認することが重要です。
口頭での「費用はかかりません」という説明だけを信用せず、費用負担がないことを契約書に明記させるよう求めましょう。
(2)複数の不動産会社の査定を受ける
買取業者を選ぶ際は1社だけの提示額を鵜呑みにせず、複数の不動産会社の査定を受けて比較することが重要です。
但し、査定を受ける会社を広げすぎると上記のような悪質な業者に当たることもあるので、評判の良い会社(悪くない会社)を選ぶことが必要です。
査定額は買取業者によって異なることが多く、1社だけでは自分の物件の適正価格を判断する基準がありません。
また、査定の過程で各社の担当者の対応や説明の丁寧さを確認できるため、信頼できる買取業者かどうかを見極める機会にもなるでしょう。
(3)実績豊富な不動産会社を選ぶ
不動産買取業者を見極める際は、実績豊富な業者を選びましょう。
実績が多い物件は評価の精度が高く、査定額の根拠についてもしっかり提示できることが多いです。
なお、その業者の信頼性を確かめるには宅地建物取引業の免許番号の更新回数を見るのもおすすめです。
宅建免許番号は『国土交通大臣(1)第000000号』のように表示されており、5年に1回の更新のたびに()内の数字が増えていきます。
数字が多いほど長く不動産業を営んでいる業者と推定できます。
そのほか、ホームページで実績を確認したり、口コミ評判をチェックして、評判も調べておきましょう。
8.不動産買取と通常売却で迷った場合の考え方

買取と仲介のどちらを選ぶべきか判断に迷う場合は、「スピード」と「価格」のどちらを優先するかを軸に考えましょう。
それぞれに向いている状況を整理します。
(1)不動産買取がおすすめなケース
不動産買取がおすすめなのは以下のようなケースです。
- 急いで現金化したい(相続・住み替え など)
- 築古・状態の悪い物件・訳あり物件を売却したい
- 内覧対応が難しい(遠方の不動産で移動にコストがかかる など)
- 周囲に知られずに売却を進めたい
- 長期間仲介で販売活動を行ったが売れ残っている
(2)不動産仲介がおすすめなケース
一方、以下の状況では仲介による売却の方が適しています。
- 売却を急いでいない、あるいは時間的余裕が十分にある
- 立地が良く需要の高い物件(築浅・駅近など)を所有している
- できるだけ高値で売却したい
スピードより価格を優先できる状況であれば、まず仲介で売り出してみて、売れ残った場合に買取を検討する方法もおすすめです。
まとめ
不動産買取はスピーディーに物件を現金化できる方法で、市場価格の5〜8割程度に売却価格が下がるものの、最短1か月以内などの短期間で売却が成立する方法です。
また、仲介手数料が不要で内覧の対応がないなど、家主の負担も少ないでしょう。
ただし、すべての物件が不動産買取の対象になるわけではありません。
買取業者を選ぶ際はまず、物件の査定を評判が悪くない複数の業者へ依頼してその結果を比較検討するのが基本です。
信頼できる不動産業者を見つけることで、利益を最大化する方法を選べるでしょう。
監修者
塚田 拓士
不動産鑑定士
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。
