トップ 記事一覧 山林を売却する方法とは?売れやすい山林の特徴から売却の流れ・税金の注意点まで解説

山林を売却する方法とは?売れやすい山林の特徴から売却の流れ・税金の注意点まで解説

山林は、買い手が限られるうえに宅地とは異なる独特のルールがありますが、売却ルートの選び方と手続きの流れを押さえれば、売却できます。

この記事では、山林の売却方法や売れやすい山林の特徴、売却の流れ、費用と税金の注意点まで詳しく解説します。

1.山林の売却方法

山林の売却方法は主に三つあります。

山林の売却方法

  1. 山林に強い不動産会社へ仲介を依頼する
  2. 地元の森林組合に相談する
  3. 山林専門の買取業者を利用する

(1)山林に強い不動産会社へ仲介を依頼する

山林の売却でまず検討したいのは、山林の取引実績がある不動産業者への仲介依頼です。

山林は権利関係や境界の調査に独特のノウハウが必要で、宅地中心の不動産会社では扱いを断られることもあります。

山林や林地の取り扱い実績がある不動産会社であれば、山林の売り出し方などにも習熟している可能性が高いです。

また、仲介による売却であれば、買い手と条件交渉をしながら進められるため、価格を重視したい場合に向いています。

(2)地元の森林組合に相談する

地域の森林組合へ相談すれば、山林を売却できる可能性が高まります。

森林組合は地元の林業事業者や山林所有者とのつながりがあり、買い手候補の情報を保有している可能性も高いです。

また、組合によっては売買のあっせんや相談窓口を設けている場合もあるため、山林の所在地を管轄する組合へ問い合わせてみるのも選択肢でしょう。

(3)山林専門の買取業者を利用する

山林専門の買取業者を利用する方法もあります。

売買仲介と異なり、販売活動なしで直接業者が買い取るため、山林を手放すまでの期間が短く、早期に現金化できる可能性があります。

ただし、相場よりもやや安めの価格が提示されるケースが多いため、山林を早く処分したい場合におすすめの方法といえるでしょう。

2.売却しやすい山林の特徴

山林はどれも同じように売れるわけではなく、条件によって売りやすさが大きく変わります。

具体的には、以下のような特徴を持つ山林であれば、比較的売却しやすいといえます。

売却しやすい山林の特徴

  1. 林道や公道に接していてアクセスが良好
  2. 境界が確定していて面積がはっきりしている
  3. 林業またはレジャー向けの需要が見込める

(1)林道や公道に接していてアクセスが良好

林道や公道に接している山林は、買い手がつきやすい傾向にあります。

木材の搬出や重機の搬入がしやすく、活用の幅が広がるためです。

反対に、道路から離れた奥地の山林は作業コストがかさむため、敬遠されることが多いでしょう。

そのため、山林を売り出す際は、最寄りの道路からのアクセス状況を資料にまとめておくと効果的です。

(2)境界が確定していて面積がはっきりしている

隣地との境界が確定している山林は、買い手が安心して購入できます。

山林は境界標が設置されていないことが多く、登記簿上の面積と実際の面積が食い違い、トラブルの元になりやすいです。

しかし、境界確定の証明となる資料を用意することで、買い手に安心感を与えられます。

過去の測量図や境界の目印になる資料があれば、査定前に整理しておきましょう。

(3)林業またはレジャー向けの需要が見込める

スギやヒノキなどの人工林が育っている山林は、林業目的の買い手から需要が見込めます。

また、近年はキャンプ場や別荘用地として山林を探す個人も見られ、街や水場に近い山林ならレジャー需要も期待できるかもしれません。

自分の山林がどちらの需要に合うかを見極めると、売り出し方や依頼先の選び方が変わってきます。

3.山林を売却する流れ

山林の売却は、以下の四つのステップで進みます。

山林を売却する流れ

  1. 登記簿謄本・公図・固定資産税の課税明細などを準備する
  2. 査定と現地調査を受けて売却方針を決める
  3. 売買契約を結び、決済と所有権移転登記を行う
  4. 売却後は買主が森林法などの届出を実施する

(1)登記簿謄本・公図・固定資産税の課税明細などを準備する

まずは、山林の情報が分かる資料を集めましょう。

具体的には以下のような資料が必要です。

山林の売却に必要な資料

  • 登記簿謄本(登記事項証明書)や公図
  • 固定資産税の課税明細書
  • 測量図
  • 森林簿 など

測量図がない場合は事前に測量を実施し、境界を確定させておくとその後の取引がスムーズです。

森林簿とは、都道府県が森林の所在や面積・樹種などをまとめた資料で、都道府県の林務担当部局などで確認できます。

資料が揃っているほど査定の精度が上がり、買い手への説明もしやすくなるため、早めに準備を進めましょう。

(2)査定と現地調査を受けて売却方針を決める

資料が揃ったら、不動産会社や買取業者へ査定を依頼します。

山林は立木の状態や地形によって評価が変わるため、机上査定だけでなく現地調査を受けるのが基本です。

また、境界が未確定の山林では、費用をかけて測量するか、登記簿上の面積のまま取引する公簿売買にするかを見極めましょう。

測量費用は山林の広さや地形によって大きく変わるため、売却予定価格とのバランスで判断します。

査定結果を踏まえて、仲介で時間をかけて売るか、買取で早く手放すかの方針も決めます。

複数の業者に査定を依頼して、価格と対応を比較しましょう。

(3)売買契約を結び、決済と所有権移転登記を行う

買い手が決まったら売買契約を締結し、決済と所有権移転登記を進めます。

山林の売却には都道府県などの行政の許可は原則として必要ありません。

登記手続きは司法書士へ依頼し、決済と同日にすませるのが一般的です。

契約書には、面積や境界の取り扱いなど、後のトラブルを防ぐための条件を明記しておきましょう。

(4)売却後は買主が森林法などの届出を実施する

売却後の手続きとして、森林法に基づく森林の土地の所有者届出制度があります。

林野庁によると、売買などで森林の土地の所有者となった人は、面積によらず取得日から90日以内に市町村長への届出をしなければなりません。

なお、国土利用計画法に基づく土地の売買契約の届出を提出した場合は、森林法の届出は不要です。

届出の義務を負うのは買主ですが、売主側も制度を知っておくと引渡し後の案内がスムーズです。

4.山林の売却にかかる費用と税金の注意点

山林の売却では、宅地の売却とは異なる費用や税金のルールに注意が必要です。

山林の売却にかかる費用と税金の注意点

  1. 仲介手数料には宅建業法の上限が適用されない場合がある
  2. 売却益には譲渡所得税、林業を営む場合は山林所得に所得税がかかる
  3. 売却の翌年に確定申告が必要になる

また、原野商法の二次被害のように、山林や原野の売却希望者を狙った悪徳業者の手口も報告されている点に注意しなければなりません。

査定や測量の名目で先に費用だけを請求してくる業者には、安易に応じないようにしましょう。

(1)仲介手数料には宅建業法の上限が適用されない場合がある

山林の仲介手数料には、宅地建物取引業法(宅建業法)の上限規制が適用されない場合があります。

宅建業法の対象となる宅地は建物の敷地に供する目的で取引される土地や用途地域内の土地であり、純粋な山林としての取引はこの定義から外れるケースが多いです。

上限がない場合の手数料は仲介業者との合意で自由に決められるので、依頼前に金額と計算方法を必ず確認しておきましょう。

なお実務では、宅建業法の上限に準じた手数料を設定している業者も見られるため、事前に手数料について確認すると安心です。

仲介手数料の考え方については、以下の記事も参考になります。

(2)売却益には譲渡所得税、林業を営む場合は山林所得に所得税がかかる

山林を土地と立木に分けて考えると、土地部分の売却益は譲渡所得として課税されます。

一方、所有期間が5年を超える立木を伐採して売却した場合や、立木のまま売却した場合の所得は、原則として山林所得です。

林業を営んでいるかどうかにかかわらず、立木の所有期間などによって所得区分が決まります。

山林所得には最高50万円の特別控除があるなど計算方法も複雑なので、税理士へ相談してみましょう。

(3)売却の翌年に確定申告が必要になる

山林の売却で利益が出たら、売却した翌年に確定申告が必要です。

譲渡所得や山林所得は給与所得などとは分けて計算する仕組みであり、会社員でも自分で申告しなければなりません。

譲渡所得と山林所得では計算方法が異なりますが、確定申告の前に、売買契約書や取得時の資料、仲介手数料の領収書などを揃えておくと計算がスムーズに進みます。

申告漏れは加算税の対象になりかねないため、忘れずに手続きしましょう。

5.山林の売却が難しい場合の対処法

買い手が見つからない山林でも、手放す方法がないわけではありません。

次の三つの対処法を検討してみましょう。

山林の売却が難しい場合の対処法

  1. 山林専門の買取業者に直接買い取ってもらう
  2. 相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう
  3. 有償の引き取りサービスで手放す

(1)山林専門の買取業者に直接買い取ってもらう

なかなか山林が売れない場合は、山林専門の買取業者への売却を検討しましょう。

専門の買取業者であれば、転売や林業活用のルートを持っているため、一般の買い手がつかない山林でも値段がつく場合があります。

価格は仲介での売却より低くなりがちですが、売却期間を大幅に短縮できるでしょう。

(2)相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう

相続した山林が売れず手放したい場合は、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう方法もあります。

相続土地国庫帰属制度とは、相続などで取得した土地を法務大臣の承認を受けて国庫に帰属する制度で、土地1筆あたり1万4,000円の審査手数料や負担金を払えば山林を手放せます。

なお、負担金は原則20万円ですが、森林は面積に応じて算定される区分のため、広い山林では高額になる可能性があります。

また、境界が明らかでない土地や一定の崖がある土地などは引き取りの対象外となる場合があるので、事前に法務局へ確認しましょう。

(3)有償の引き取りサービスで手放す

民間の山林引き取りサービスを利用して、山林を手放す方法もあります。

売却と異なり、所有者が手数料を負担する仕組みですが、管理の手間や固定資産税から早期に解放されるのがメリットです。

ただし、引き取り後の所有権移転登記を確実に実施してくれるかなど、業者の信頼性は慎重に見極めなければなりません。

契約前に、費用の総額と手続きの範囲を書面で確認しておきましょう。

6.山林の売却についてよくある質問

山林の売却についてよくある質問をまとめました。

山林の売却についてよくある質問

  1. 保安林は売却できますか?
  2. 山林の売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
  3. 相場が分からない山林の価格はどのように決めますか?

(1)保安林は売却できますか?

保安林も売却自体は可能で、売買にあたって特別な許可は必要ありません。

ただし、保安林の指定は買主にそのまま引き継がれ、立木の伐採や土地の形質変更には許可が必要になるなどの制限があります。

一方で、保安林は固定資産税や不動産取得税が非課税とされるなどの優遇措置もあるため、制限と利点をセットで買い手へ説明しましょう。

(2)山林の売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

山林の売却期間は、立地や需要によって大きく変わります。

買い手が限られるため、数か月で売れるケースもあれば、1年以上かかるケースも珍しくありません。

期間を優先したい場合は、仲介ではなく買取業者への売却を検討するのが現実的です。

(3)相場が分からない山林の価格はどのように決めますか?

山林の価格には宅地のような明確な相場がなく、立木の価値や立地条件によって個別に決まります。

まずは山林の取引実績がある業者や森林組合に査定を依頼し、複数の評価を比較して価格帯を把握しましょう。

固定資産税評価額や近隣の取引事例も、価格を検討する際の参考材料になります。

まとめ

山林の売却は、不動産業者への仲介依頼、森林組合への相談、専門買取業者の利用という三つの方法から選べます。

アクセスや境界の状況によって売りやすさが変わるため、まずは自分の山林の状況を把握するのが第一歩です。

売却時は仲介手数料のルールや譲渡所得・山林所得の区分にも注意して、翌年の確定申告を忘れずにすませましょう。

どうしても売れない場合は、山林専門の買取業者への相談も検討してみましょう。

監修者

塚田 拓士

不動産鑑定士

新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。