別荘を売却する方法とは?早く高く売るポイントと売れない場合の対策も解説
別荘は一般の住宅と比べて買い手が限られやすく、方法選びや価格設定を誤ると長期間売れ残りかねません。
この記事では、別荘を売却する方法と早く高く売るためのポイント、注意点、売却がうまくいかない場合の対策を解説します。
1.別荘を売却する方法

別荘を売却する方法は、大きく分けて五つあります。
- 不動産会社の仲介で売却する
- 別荘の買取業者へ依頼する
- 管理会社や管理組合に相談する
- 空き家バンクを利用する
- 自治体への寄付を検討する
それぞれ売却までのスピードや手続きの流れが異なるため、自分の状況に合った方法を選びましょう。
(1)不動産会社の仲介で売却する
不動産会社に仲介を依頼して買主を探してもらう方法が一般的です。
市場で広く買主を募るため、相場に近い価格で売却できる可能性が高い方法といえます。
一方、別荘は購入希望者の数が限られており、売却までに6か月から1年以上かかるケースも珍しくありません。
時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい場合に向いている方法です。
(2)別荘の買取業者へ依頼する
できるだけ早く別荘を手放したい場合は、別荘を扱う買取業者への売却も検討しましょう。
買取業者が直接買主となるため、買主を探す期間が不要で、早ければ数週間程度で現金化できます。
ただし、買取価格は仲介で売却する場合より低くなる傾向があり、人気エリアでもおおむね市場相場の6〜8割程度、あまり人気のないエリアではそれ以下になることも多いです。
売主のメリットとしてはリフォームや解体の手間がなく、現況のまま引き取りとなるケースが多い点です。
老朽化した別荘の売却を考えている場合に向いている方法といえるでしょう。
(3)管理会社や管理組合に相談する
別荘地の管理会社やリゾートマンションの管理組合へ相談する方法もあります。
管理会社は別荘地内の物件情報や購入希望者の情報を持っていることがあり、買主を紹介してもらえる可能性があります。
また、管理会社自身が物件の買取に応じたり、提携する不動産会社を紹介したりしてくれる場合もあるため、まずは問い合わせてみましょう。
(4)空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、自治体が空き家の売却・賃貸希望者と利用希望者をマッチングする制度で、多くの場合は無料で物件を掲載可能です。
しかし、売却までに時間がかかる可能性があり、早期に現金化したい場合にはあまり向いていないといえるでしょう。
(5)自治体への寄付を検討する
売却が難しい別荘は、自治体への寄付を利用する方法もあります。
公共施設として活用するために、寄付を受け付けている自治体もありますが、管理コストの増加を理由に受け付けていない自治体も少なくありません。
そのため、寄付を検討する場合は事前に受け入れが可能か確認しておきましょう。
2.別荘を早く・高く売却するためのポイント

別荘は売り方の工夫次第で、売却までの期間も価格も大きく変わります。
ここでは、早く高く売るために押さえておきたい四つのポイントを紹介します。
- 売却タイミングをオンシーズンに合わせる
- 最低限の清掃・手入れで印象を整える
- 最低売却価格を決めておく
- 別荘・リゾート物件に強い会社へ複数査定を依頼する
(1)売却タイミングをオンシーズンに合わせる
別荘を売り出すタイミングは、需要が高まるシーズンに合わせるのが効果的です。
別荘地のニーズが高まるのは、避暑や行楽の需要が集中する春から初夏、秋の行楽シーズンあたりといわれています。
そのため、1〜3月または9〜10月ごろまでに売り出し始め、シーズン中の内覧につなげる流れを作りましょう。
また、積雪地帯の別荘は、雪で物件や周辺環境を確認しづらい冬を避け、それ以外の時期に売り出すのが基本です。
物件の魅力が伝わりやすい時期を選んで、成約の可能性を高めましょう。
(2)最低限の清掃・手入れで印象を整える
内覧の前には、最低限の清掃と手入れで物件の印象を整えておきましょう。
長期間使っていない別荘は、カビや湿気のにおい、庭の雑草などが原因で、実際以上に傷んだ印象を与えてしまいます。
換気や水回りの清掃、庭木の剪定といった基本的な手入れをするだけでも、内覧時の印象は大きく変わります。
なお、大規模なリフォームをした方が高く売れると考える人もいますが、売却価格によっては費用を回収できないリスクもあり、まずは低コストでできる範囲の清掃から取り組みましょう。
(3)最低売却価格を決めておく
別荘を売り出す前に、最低売却価格を決めておくことも大切です。
別荘の売却では買主から値下げ交渉を受けることが多く、判断基準がないと相場より大幅に安い価格で手放してしまう恐れがあります。
ローンの残債や売却にかかる諸費用を踏まえて、いくらまでなら妥協できるかを事前に整理しておきましょう。
(4)別荘・リゾート物件に強い会社へ複数査定を依頼する
査定は、別荘やリゾート物件の販売実績が豊富な会社に複数依頼しましょう。
物件の査定は不動産会社によって前後する可能性があるため、1社だけに絞ると適正な価格帯を設定できない可能性もあります。
ただし、別荘が所在するエリアは都市部と比べて不動産会社の数が少ないケースが多く、可能な範囲で査定を依頼しましょう。
3.別荘を売却する際の注意点

別荘の売却では、価格設定や契約条件を巡るトラブルが起こりがちです。
後悔しないために、次の三つの注意点を押さえておきましょう。
- 高額な価格設定は売れ残りの原因になる
- 管理費・税金の清算方法を確認しておく
- 契約不適合責任の免責や残置物の扱いに注意する
(1)高額な価格設定は売れ残りの原因になる
別荘を売却する際は、過度に高額な価格を設定しないようにしましょう。
物件がもつ価値を上回る金額では買主が現れず、いつまでも別荘を処分できない原因になります。
別荘の相場は立地条件や建物の状態によって大きく変わるため、所在地周辺の売却相場を把握したうえで適正な価格を設定することが重要です。
例えば、立地が良好な物件では数億円以上の価格が付く場合もありますが、そのような物件は限られています。
リゾート物件の専門サイトで周辺の売り出し価格を確認するほか、国土交通省の不動産情報ライブラリで過去の成約事例も調べておきましょう。
(2)管理費・税金の清算方法を確認しておく
別荘の売却では、管理費や固定資産税の清算方法を事前に確認しておきましょう。
別荘地やリゾートマンションでは管理費・修繕積立金・温泉利用料などの費用が発生し、引渡し日を基準に日割りで計算するのが一般的です。
加えて、固定資産税や都市計画税についても、引渡し日以降の分を買主が負担するケースが多く見られます。
計算の基準日や負担割合を契約書に明記しておかないと、引渡し後のトラブルにつながりかねません。
不動産会社に確認しながら、売買契約書の内容を細かくチェックしましょう。
(3)契約不適合責任の免責や残置物の扱いに注意する
売買契約を結ぶ際は、契約不適合責任の範囲と残置物の扱いを必ず確認しておきましょう。
契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容に適合しない場合に、売主が修補や代金減額、損害賠償などの責任を負う制度です(民法第562条以下)。
築年数の古い別荘は雨漏りや設備の故障といった不具合が生じやすいため、把握している不具合はすべて告知し、免責の特約を設定できないか不動産会社に相談してみましょう。
また、家具や家電などの残置物を残したまま引き渡すのか、売主が撤去するのかも、トラブルになりやすいポイントです。
撤去費用の負担も含めて、契約前に買主と取り決めておくのが重要です。
4.別荘の売却がうまくいかない場合の対策

買い手が見つからず売却が難航する場合でも、別荘を手放す方法は残されています。
状況に応じて、次の三つの対策を検討してみてください。
- 相続土地国庫帰属制度を利用する
- 専門の引き取り業者・管理会社に依頼する
- 相続人の場合は相続放棄も検討する
(1)相続土地国庫帰属制度を利用する
相続した別荘の土地であれば、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。
相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈で取得した土地を、要件を満たす場合に国へ引き渡せる制度です(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)。
ただし、対象となるのは土地のみであり、建物が残ったままではこの制度の適用外です。
そのため、別荘を国庫に帰属させる場合は建物を解体して更地にし、審査手数料や負担金を支払う必要もあります。
要件や費用の詳細は法務省の相続土地国庫帰属制度のページで確認し、法務局に相談してみましょう。
(2)専門の引き取り業者・管理会社に依頼する
別荘の買い手がなかなか見つからない場合などは、別荘の引き取りを専門とする業者や管理会社へ相談してみましょう。
引き取り業者は売却困難な物件を有料で引き取り、リフォームなどを経て転売します。
引き取りには一定の費用がかかりますが、継続的に発生する管理費や固定資産税を考えると、トータルの負担を抑えられる可能性があります。
また、別荘地の管理会社が引き取りや買い取ってくれる可能性もあるので、一度相談してみてください。
(3)相続人の場合は相続放棄も検討する
別荘を相続する予定があるものの、活用の予定がない場合は、相続をしない選択肢もあります。
相続放棄をすれば別荘を引き継がず、売却に関するコストや手間も発生しません。
ただし、相続放棄は「被相続人の一切の財産を相続する権利を放棄すること」なので、現金資産を含めてプラスの財産も受け取れません。
また、相続放棄ができる期間には制限があり、原則として相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立て(申述)をする必要があります。
被相続人に債務がある、受け取る預貯金がごく僅かであるといったケースの場合は有力な選択肢ですが、その他の資産がある場合は別荘を一旦相続してから手放す方がプラスになる可能性があります。
他の相続財産とのバランスも踏まえ、弁護士などの専門家に相談して判断しましょう。
5.別荘の売却に関するよくある質問

最後に、別荘の売却でよく寄せられる質問に回答します。
- 使っていない別荘でも早く売れますか?
- 取得費が不明の場合はどうなりますか?
- 売却損が出た場合に使える特例はありますか?
疑問を解消してから、売却の準備を進めていきましょう。
(1)使っていない別荘でも早く売れますか?
使っていない別荘でも、売却方法と価格設定次第で早期の売却は可能です。
特に買取業者への依頼であれば、買主を探す期間が不要であり、短期間での現金化が期待できます。
仲介で売る場合も、オンシーズンに合わせた売出と適正な価格設定を心がければ、成約までの期間を短縮できるでしょう。
長期間放置すると建物の劣化が進んで価値が下がるため、売却を決めたら早めに動き出すのが鉄則です。
(2)取得費が不明の場合はどうなりますか?
別荘の取得費が不明な場合は、原則として売却価格の5%を概算取得費として計算できます(参考:No.3258 取得費が分からないとき|国税庁)。
ただし、この方法を使うと実際の取得費よりも大幅に安い金額になりやすく、譲渡所得が増えて税負担が増えるリスクがあります。
まずは別荘購入時の売買契約書や領収書が残っていないかを確認しましょう。
(3)売却損が出た場合に使える特例はありますか?
原則、別荘の売却損に対して利用できる特例はありません。
マイホームの売却損の際に認められる損益通算や繰越控除の特例はあくまで居住用財産が対象です(参考:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁、No.2250 損益通算|国税庁)。
別荘は税法上では生活に必要でない資産に区分されるため、売却損の損益通算も認められません。
税額の詳細は個々の状況によって異なるため、必要に応じて税理士や税務署に確認するのがおすすめです。
まとめ
別荘を売却する方法には、不動産会社の仲介、買取業者への依頼、管理会社への相談、自治体への寄付・空き家バンクの利用の四つがあります。
早く高く売るには、オンシーズンに合わせて売り出したり、別荘に強い会社に依頼したりするのが効果的です。
一方で、過度な価格設定は売れ残りの原因になるため、周辺相場を踏まえた適正価格を心がけましょう。
どうしても売れない場合は、相続土地国庫帰属制度や引き取り業者の活用といった対策も検討できるため、自分に合った方法を選び、納得のいく売却を実現してください。
監修者
塚田 拓士
不動産鑑定士
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。