旗竿地が売れない理由とスムーズに売却する5つのコツ
旗竿地は土地の形状や接道条件などから、買い手がつきにくいとされる土地です。
しかし、適切な売却方法を選べば、旗竿地でもスムーズに買い手を見つけられる可能性があります。
この記事では、旗竿地が売れにくい理由と売却するコツを詳しく解説します。
1.旗竿地とは

旗竿地とは、道路に接する細長い通路部分と、その奥にある敷地部分を組み合わせた、旗のような形状の土地です。
「路地状敷地」や「敷地延長」と呼ばれるケースもあり、都市部の住宅地などで多く見られます。
旗竿地は整形地と比べて土地価格が安く設定されるケースが多いため、価格を抑えて土地を購入したい人には魅力的に映ります。
一方で、形状の特殊性から建築や売却の場面で様々な制約が生じやすく、買い手から敬遠されがちです。
所有している旗竿地を売却したい場合は、特有のデメリットを理解したうえで戦略的に進めましょう。
2.旗竿地が売れにくい主な理由

旗竿地が売れにくい理由は、土地の形状や法的な制約に起因しています。
主な理由として、以下の六つが挙げられます。
- 再建築不可になるリスクがある
- 解体や建築コストが割高になりやすい
- 日当たり・風通しが悪い
- 住宅ローンの担保価値が低くなりやすい
- 私道の権利関係が複雑になりやすい
- 実用面積に制限がある
(1)再建築不可になるリスクがある
旗竿地は再建築不可物件となるリスクが高い土地です。
建築基準法第43条第1項では、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。
これを「接道義務」と呼び、満たさない土地には新たに建物を建てられません。
旗竿地の竿部分(通路部分)の幅が2m未満であったり、接している道路が4m未満であったりすると、接道義務を満たさず再建築不可となるリスクがあります。
これにより、買い手が大きく限定され、売却価格も下がる傾向にあります。
(2)解体や建築コストが割高になりやすい
通路部分が接道義務を満たす幅であっても、重機やトラックが奥の敷地まで入れず、解体や建築のコストが割高になるケースがあります。
通常の土地であれば重機を使って効率的に作業できますが、旗竿地では手作業や小型機材で作業せざるを得ない場合が多いでしょう。
特に近年は人件費や資材の価格高騰により、整形地と比べて建築費用が高くなる傾向にあります。
売り手にとっても売却にかかる費用がかさむというデメリットがあり、購入後に建物をリフォームしようと考えている買い手にとっては費用負担が高くなるリスクがあります。
(3)日当たり・風通しが悪い
旗竿地は周囲をほかの建物に囲まれ、日当たりや風通しが悪いことが多いです。
特に都市部の住宅密集地では、隣接する建物の影響で1階部分にほとんど日光が入らないケースもあります。
間取りを工夫したり、採光のための窓を配置するなどの対策はできますが、風通しの問題で建物などがすでに傷んでいるようなケースでは、マイナスの評価を受けてしまいます。
日当たりや風通しは住み心地に直結する要素であり、購入希望者から敬遠されやすくなるでしょう。
(4)住宅ローンの担保評価が低くなりやすい
旗竿地は住宅ローンの担保評価が低くなりやすい点も買い手がつきにくい要因です。
金融機関は土地の流動性や再販価値などを重視して融資額を決定しますが、旗竿地は売れにくい物件であるため、多額の融資は期待できません。
担保評価が低いと、購入希望者が希望する金額の住宅ローンを組めないケースも発生します。
こうなると、売却期間が長期化しやすいのです。
(5)私道の権利関係が複雑になりやすい
旗竿地の竿部分が「私道」や「共有持分」になっている場合、権利関係が複雑になりがちで、2m以上の接道があるように見えても場合によっては再建築ができないこともあります。
私道の通行権や掘削に関する権利などが明確でない場合、買主が水道管やガス管の工事を行う際にトラブルが発生する可能性があります。
また、私道の維持管理や補修費用の負担についても、所有者間での取り決めが必要です。
権利関係が不明確な旗竿地は、買主にとってリスクが高いと判断され、売却がスムーズに進みにくい傾向にあります。
(6)実用面積に制限がある
旗竿地は登記簿上の面積に通路部分も含めて記載されますが、通路部分は建物などを建てる際のスペースとして活用できないケースがほとんどです。
例えば、登記に記載されている面積が100㎡あっても、竿部分が20㎡を占める場合、実際に建物を建てられる部分は80㎡です。
買い手にとっては「表示面積の割に使える土地が狭い」と感じやすく、価格が下がる原因にもなります。
3.スムーズに売れる旗竿地の条件

旗竿地でも、一定の条件を満たしていればスムーズに売却できる可能性があります。
- 間口が広く重機などが入る幅が確保されている
- 駅近や都心部など立地が良好
- リフォーム可能な状態の建物がすでに建っている
買い手が魅力を感じる条件を理解しておくと、売却戦略が立てやすくなります。
(1)間口が広く重機などが入る幅が確保されている
スムーズに売れる旗竿地は、竿部分の間口が広く、重機や工事車両が通過する幅が確保されている土地です。
前面道路の幅にもよりますが、間口が3m以上あると重機の搬入がしやすく、解体や建築のコストが上昇するのを抑えられます。
間口の広さは購入後の利便性に直結するため、買い手が安心して購入の判断ができる重要な要素です。
(2)駅近や都心部など立地が良好
立地は、旗竿地のデメリットを補う最大の武器となります。
駅から徒歩圏内、または都心部や人気エリアにある旗竿地は、形状のマイナス面よりも立地のメリットが評価されやすいです。
仮に多少形状が不便であっても、駅から近く通勤などの移動がしやすいというのは買い手にとっては魅力的に映ります。
特に土地価格の高いエリアでは、整形地が手の届かない価格帯になるため、価格を抑えられる旗竿地に注目する買い手も一定数います。
利便性の高い立地であれば、旗竿地の割安感が買い手にとっての魅力に変わります。
(3)リフォーム可能な状態の建物がすでに建っている
既存の建物が再利用できる状態であれば、旗竿地でも買い手を見つけやすくなります。
新築では建築コストがかかりますが、すでに建物がある場合にはリフォーム費用だけですみ、買い手にとっての大きなメリットです。
特に再建築不可の旗竿地では、既存建物のリフォームが買い手にとって唯一の活用方法となります。
そのため、建物の状態が良いほど買い手の評価も上がるでしょう。
ただし、通路部分の幅が接道義務を満たしていない場合には、大規模なリフォームには制限が加わる可能性が高いので、建物の構造や築年数を確認したうえで、リフォーム前提での売却を視野に入れるのがおすすめです。
4.売れない旗竿地を売却するコツ

なかなか旗竿地が売れなくても、売却方法を工夫すれば成約の確率を上げることが可能です。
ここからは、実践しやすい売却のコツを五つ紹介します。
- 中古一戸建てとして売り出す
- 隣地の所有者に購入を打診する
- 私道の権利関係を整理する
- 不動産買取を利用する
(1)中古一戸建てとして売り出す
旗竿地に既存の建物がある場合は、土地ではなく「中古一戸建て」として売り出しましょう。
建物を解体したうえで更地として売り出すと、建築コストや再建築の可否を気にする買い手からは敬遠されやすいです。
一方で、中古一戸建てとして売り出せば、すぐに住める物件を探している買い手にはアプローチしやすくなります。
その際に、リフォーム費用を考慮した価格設定を意識することで、買い手にとっても手頃な価格となりやすく、成約が早くなるでしょう。
中古住宅を売却する際の流れや注意点については、以下の記事もご覧ください。
(2)隣地の所有者に購入を打診する
旗竿地を売る場合、隣地の所有者へ購入を持ちかけるのも一案です。
隣地の所有者としても自分の土地と旗竿地が合わされば、整形地に近い形状にできるというメリットがあるため、購入のモチベーションになりやすいです。
しかし、直接交渉をするとトラブルになるケースもあるため、不動産会社を介して売却の交渉を進めることが重要です。
(3)私道の権利関係を整理する
旗竿地の竿の部分が私道や共有持分となっているようなケースでは、売却前に権利関係を整理しておきましょう。
権利関係が複雑だと買い手にとってのデメリットになるため、事前に整理を行うことで懸念材料を払拭できます。
具体的には、通行権や掘削権、共有者との合意内容を明確にし、文書で取り決めて覚書を作成しておくことが望まれます。
また、再建築可能かどうかはあらかじめ役所に確認しておいたほうがよいでしょう。
弁護士や司法書士、不動産会社など専門家のサポートを受けながら、整理を進めておくことが大切です。
(4)不動産買取を利用する
なかなか買い手がつかない場合や売却期限が決まっている場合は、不動産会社による買取を利用する方法もあります。
買取は仲介と異なり、不動産会社が直接購入するため、短期間で確実に売却できます。
買取価格は仲介での売却価格よりも低くなる傾向がありますが、売れるまでの時間を短縮できる点がメリットです。
旗竿地の取り扱い実績が豊富な不動産会社を選べば、適正な価格での買取が期待できるでしょう。
不動産買取の流れや買取の利用を検討すべきケースについては、以下の記事も参考になります。
まとめ
旗竿地は形状や法的な制約から売れにくい土地ですが、適切な対策を講じれば売却への道は開けます。
まずは自身の旗竿地が抱える課題を整理し、再建築の可否や私道の権利関係などを把握しましょう。
旗竿地のような一見デメリットが多い物件を売るには、実績豊富な不動産業者との協力が欠かせません。
過去の実績などから旗竿地や再建築不可物件などを取り扱った経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。
監修者
塚田 拓士
不動産鑑定士
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。

