中古住宅の売却相場は?売却のステップや高く売るために意識することを解説
「中古住宅はいくらで売却できるのか?」
「売却の流れや注意点を事前に把握しておきたい」
中古住宅の売却を成功させるには、最新の相場感覚と売却手順を理解しておく必要があります。
この記事では、2026年1〜3月期の最新相場、売却の流れ、高く売るコツ、注意点までを解説しています。
最後まで読めば、中古住宅を納得のいく価格で売却するための知識が身につくでしょう。
1.中古住宅の売却方法

中古住宅の売却でも、売却方法は「仲介」と「買取」の2種類があります。
売却方法によって売却価格や売却が成立するまでの期間などが変わります。
仲介による売却は、不動産会社が売主と買主の間に入って売却活動を行い、購入希望者探しから契約まで包括的にサポートする売却方法です。
買主が見つかるまで少し時間がかかることが多いですが、物件のニーズが合えば市場価格に近い価格で売却できます。
これに対して、買取とは不動産業者が直接物件を買い取ることです。
物件を買い取った不動産会社は、その後リノベーションなどを施して付加価値を加えた状態で物件を再販します。
買主を探す工程がないためスピーディに不動産を売却できるのが特徴ですが、上記リノベーションなどにかかる費用が差し引かれ、市場価格よりも価格が下がってしまうことが多いです。
双方の売却方法にメリット・デメリットがあるため、状況に応じて適切な売却方法を選びましょう。
仲介の詳細については、以下の記事もご覧ください。
2.中古住宅の売却相場(2026年1〜3月期)

中古住宅を売却する前に、まずは最新の相場を把握しておくことが重要です。
これは、不動産業者からの査定額が妥当かどうかを判断するためにも有益です。
ここからは、公共財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の2026年1月〜3月期のデータを基にして、首都圏の最新相場を紹介します。
(1)首都圏の中古戸建売却相場は約4,100万円
「季報 Market Watch – サマリーレポート 2026 年 1~3 月期」によると、2026年1月〜3月期における首都圏の中古戸建て住宅の平均成約価格は、4,093万円です。
東京都23区部では7,623万円と取引価格が突出して高く、千葉県は2,721万円、埼玉県が2,472万円であることを考えると、都心部と郊外では大きな差があることも分かります。
この数値は前年度同期比でプラス4.1%と、2四半期連続の上昇を見せており、首都圏の中古戸建て物件の売却価格は緩やかに上昇しています。
なお、成約件数は5,575件で前年と比較するとプラス7.9%と、9四半期連続で増加しているのも特徴的です。
(2)マンションの売却相場は約5,500万円
首都圏の中古マンションの平均成約価格は5,492万円で、前年同期比プラス9.4%と54四半期(13年半も!)連続で上昇しています。
成約㎡単価は86.26万円/㎡となり、23四半期連続の上昇が続いている状況です。
東京都区部では平均成約価格が7,941万円、㎡単価は137.96万円/㎡と高水準を維持しています。
(3)売却相場は築年数の影響を強く受ける
中古住宅の売却価格は、築年数によって大きく変動する点にも注意が必要です。
東日本レインズが発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」によると、築年帯ごとの成約価格には明確な差が見られます。
以下に、築年数ごとの中古マンション・中古戸建住宅の成約価格をまとめました。
中古マンション 築年帯別 平均価格・面積・㎡単価(2024年・首都圏)
| 築年帯 | 平均価格(万円) | 平均面積(㎡) | 平均㎡単価(万円/㎡) |
| 築5年以内 | 7,808 | 61.93 | 126.08 |
| 築6〜10年 | 7,156 | 65.60 | 109.09 |
| 築11〜15年 | 6,619 | 66.62 | 99.35 |
| 築16〜20年 | 5,972 | 70.20 | 85.07 |
| 築21〜25年 | 5,320 | 71.20 | 74.71 |
| 築26〜30年 | 3,835 | 66.45 | 57.71 |
| 築31〜35年 | 2,455 | 60.56 | 40.54 |
| 築36〜40年 | 2,742 | 57.54 | 41.24 |
| 築41年〜 | 2,351 | 56.65 | 47.66 |
中古戸建住宅 築年帯別 平均価格・土地面積・建物面積(2024年・首都圏)
| 築年帯 | 平均価格(万円) | 平均土地面積(㎡) | 平均建物面積(㎡) |
| 築5年以内 | 5,131 | 118.65 | 97.88 |
| 築6〜10年 | 5,034 | 119.63 | 99.00 |
| 築11〜15年 | 4,777 | 129.78 | 101.81 |
| 築16〜20年 | 4,384 | 140.43 | 106.40 |
| 築21〜25年 | 4,122 | 136.66 | 108.76 |
| 築26〜30年 | 3,419 | 153.02 | 113.32 |
| 築31〜35年 | 2,964 | 166.08 | 118.88 |
| 築36〜40年 | 2,791 | 170.25 | 110.25 |
| 築41年~ | 2,105 | 167.34 | 88.73 |
特に中古マンションでは築30年を境に価格が大きく下がる傾向が見られます。
ただし、売却相場は築年数だけでなく需給バランスや立地、物件の状態など複数の要素にも左右されます。
駅近などの周辺の環境が良好であれば、築古でも比較的高値で売却できるケースもあります。
3.中古住宅を売却する流れ

中古住宅を仲介で売却する場合の標準的な流れは、以下の7ステップです。
- 名義の確認や必要書類の準備
- 査定の依頼と不動産会社の選定
- 媒介契約の締結
- 売却活動や内覧対応
- 売買契約の締結
- 決済・引渡し
- 確定申告
中古住宅の売却はスピードが重要なことも多いため、流れを正しく把握したうえで、スムーズに手続きを行いましょう。
(1)名義の確認や必要書類の準備
中古住宅を売却する前に、登記簿謄本を取り寄せて物件の名義を確認しましょう。
相続した物件で名義変更が済んでいなかったり、共同名義になっていたりする場合には、まず相続手続きを完了させ、共同名義の場合は売却について合意を得なければなりません。
特に相続登記が未了の場合には、過料が科されるリスクもあるため、直ちに対応を進めることが重要です。
なお、2026年4月1日より、住所変更の登記も義務化されました。
物件の登記簿謄本は法務局のホームページからオンラインで取り寄せが可能です。
また、登記識別情報・登記済証(権利証)や固定資産税納税通知書、建築確認済証・検査済証など複数の書類も準備しておきましょう。
探しても見つからない場合は専門家に相談しましょう。
(2)査定の依頼と不動産会社の選定
必要書類が揃ったら、3~6社程度の不動産会社へ査定を依頼します。
不動産会社への査定の際に物件の詳細や情報を詳しく聞かれるため、書類が揃っていれば査定も速やかに進みます。
不動産会社の査定は情報が揃っていれば1週間程度で結果が出るので、その後結果を比較しましょう。
なお、査定額が高い会社が必ずしも良い会社とは限りません。
契約のためにあえて高い金額を提示している会社もあるため、査定の根拠説明や担当者の対応も含めて総合的に判断しましょう。
(3)媒介契約の締結
査定を比較したうえで、売却を委託する仲介会社を選定し、媒介契約を締結します。
媒介契約には以下の3種類があります。
| 種類 | 内容 |
| 一般媒介契約 | ・複数の不動産会社へ同時依頼が可能 ・自分で買主を見つける自己発見取引も可能 ・レインズ登録や売主への活動報告は任意 |
| 選任媒介契約 | ・依頼できるのは1社のみだが、自己発見取引は可能 ・媒介契約から7日以内のレインズ登録が義務 ・2週間に1回以上の活動報告が必要 |
| 専属専任媒介契約 | ・依頼できるのは1社のみ ・自己発見取引も不可(買主が見つかっても契約必須) ・媒介契約から5日以内のレインズ登録が義務 ・1週間に1回以上の活動報告が必要 |
複数社に売却活動を依頼したい場合は一般媒介を、1社に集中して任せたい場合は専任・専属専任媒介契約が向いています。
媒介契約の種類によって売却活動の密度なども異なるため、適切な売却方法を選びましょう。
なお、中古住宅を買取によって処分する場合は、不動産業者との売買契約へ進むことになります。
(4)売却活動や内覧対応
媒介契約後は不動産会社が広告掲載、情報サイトへの登録を進めます。
買主候補が見つかった時点で内覧の依頼が入るので、それまでに室内の清掃や整理整頓をしておきましょう。
また、不動産会社によっては印象を良くするためのインテリアの提案をしてくれる場合もあります。
内覧時は購入希望者に物件を見せ、質問があれば適宜回答して、購入希望者の不安を軽減するように努めましょう。
(5)売買契約の締結
買主から購入の打診があり、価格交渉もまとまった時点で売買契約を締結します。
売買契約時には買主から手付金として物件売却価格の5〜10%を受領するのが一般的です。
売買契約書は通常の場合は不動産会社が作成しますが、売主自身も内容を確認し、特に引渡し時期や特約事項、付帯設備の取り扱いなどについてもしっかり確認しましょう。
(6)決済・引渡し
売買契約から1〜2か月程度を目安として、残代金の決済を行い、引渡しを完了します。
住宅ローンが残っている場合は、代金で一括返済し、抵当権抹消手続きなども必要です。
必要な手続きに抜けや漏れがないように、不動産業者と協力して、手続きを進めていきましょう。
(7)確定申告
売却手続きの翌年の確定申告期間に、譲渡所得の申告を行います。
売却益が生じた場合、あるいは3,000万円特別控除などの税負担軽減を受ける際には確定申告が必須となる点に注意しましょう。
4.中古住宅をより高く売却するためのコツ

中古住宅は築年数や立地条件によって、売却価格に大きな差が出ます。
少しでも希望額に近づけるためにできるコツを紹介します。
- 複数社に査定を受けて結果を比較する
- 売却時期を見極める
- 内覧の印象を高める
(1)複数社に査定を受けて結果を比較する
中古住宅を高く売る最大のコツは、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することです。
査定額は会社ごとに数百万円単位で異なるケースもあり、1社だけの査定では適正価格を見極められません。
ただし、極端に高い査定額を提示する会社は契約欲しさの「釣り査定」を行っている可能性もあるため、根拠を明確に説明できる会社を選びましょう。
(2)売却時期を見極める
中古住宅は、売却する時期によっても成約しやすさが変わります。
売買は賃貸と比べるとシーズンというものは特にありませんが、不動産会社の決算期である3月は1年の成約件数が最大となるとされており、この時期に合わせて年明けから売却活動を進める売主が多いです。
売りたい(現金化したい)時期に合わせて売り出しができるよう、3〜4か月前から売却活動を始めておくことをおすすめします。
(3)内覧の印象を高める
中古住宅を少しでも高く売るためには、内覧時の印象を高めなければなりません。
中古とはいえ住宅は高い買い物なので、買主が「ここに住みたい」、「素敵な家だ」と思ってもらえるような工夫が必要となります。
特にキッチンや浴室、トイレなどの水回りの清潔感は重要です。
必要であればハウスクリーニングを入れておくと清潔感が増し、購入希望者の印象も良くなります。
また、不要な家具や荷物は整理して生活感を抑えることで、物件の広さや魅力が伝わりやすくなります。
5.中古住宅を売却する際の注意点

中古住宅の売却には、知らないと損をする落とし穴も存在します。
- ホームインスペクションの実施で瑕疵を確認する
- リフォーム費用は売却価格に上乗せできないものと考える
- オーバーローンになった際の資金を用意できるか見極める
トラブルを避けるためにも、中古住宅の売却に関する注意点を理解しておきましょう。
(1)ホームインスペクションの実施で瑕疵を確認する
中古住宅を売却する前に、ホームインスペクションを受けましょう。
ホームインスペクション(住宅診断)とは、専門家が住宅の劣化状況や欠陥の有無を調査するサービスです。
ホームインスペクションの実施により、売却前に物件の瑕疵を把握し、売却後の契約不適合責任によるトラブルを避けられます。
なお、費用は5万〜10万円程度(築年が古い物件で必要となるアスベストの調査を追加するとそれ以上)かかりますが、買主への安心材料やトラブル回避として有効です。
(2)リフォーム費用は売却価格に上乗せできないものと考える
中古住宅の売却前にリフォームを実施することで売却価格が引き上げられることはあまりありません。
売主が自分好みの付加価値をつけたことにより売却希望額が上がり、それにより購入希望者と価格面での折り合いがつかなくなることもあります。
中古物件を購入する人は、購入後に「自分でリフォーム・リノベーションをしたい」と考えるケースもあるため、リフォームをせず買いやすい価格で売った方が売れやすいこともあります。
リフォームさえすれば高く売れるという安易な判断はしないほうが現実的です。
(3)オーバーローンになった際の資金を用意できるか見極める
オーバーローンとは、住宅ローンの残債が売却額を上回った状態です。
その場合、売却代金だけではローンを完済できず、不足分を自己資金で補填しなければなりません。
まずはオーバーローンになった際の資金が用意できるかどうかを検討しておきましょう。
6.中古住宅の売却についてよくある質問

中古住宅の売却に関する代表的な疑問にお答えします。
- 中古住宅は築何年まで売れますか?
- 中古住宅が売れない場合はどうしたらいいでしょうか?
- 中古住宅の売却で確定申告をしないとどうなりますか?
売却を始める前に、不安や疑問を解消してから手続きを始めましょう。
(1)中古住宅は築何年まで売れますか?
築30年を超える中古住宅でも、売却は十分に可能です。
建物自体の評価額はほぼゼロに近づきますが、土地の価値があるため一定の価格で売却できる可能性があります。
ただし、築古物件は仲介での買主が見つかりにくい傾向があるため、買取業者への売却も選択肢として検討しましょう。
(2)中古住宅が売れない場合はどうしたらいいでしょうか?
中古住宅がなかなか売れない場合は、まず売出価格の見直しが基本です。
売出価格が相場と乖離している場合は5〜10%程度値下げし、反応を見ながら金額を調整します。
それでも反応がない場合は、不動産会社の変更、買取業者への切り替えで早期売却を目指すほか、それでも売れそうもない場合は、地方自治体が運営する空き家バンクへの登録なども選択肢となります。
空き家の買取については、以下の記事も参考になります。
(3)中古住宅の売却で確定申告をしないとどうなりますか?
中古住宅の売却で売却益が生じたにもかかわらず確定申告をしない場合、無申告加算税や延滞税が課されるリスクがあります。
無申告加算税は本来納めるべき税額の最大30%、延滞税は年率最大14.6%程度が加算されるケースもあります。
また、3,000万円特別控除などの税制優遇は確定申告をしなければ適用されません。
税制優遇を受けるためにも、確定申告はしっかり進めましょう。
まとめ
中古住宅の売却は、最新相場の把握から査定、媒介契約、内覧対応、売買契約、決済、確定申告まで複数のステップを踏んで進めます。
首都圏中古戸建住宅の平均成約価格、中古マンションの平均成約価格とも、いずれも前年比で上昇傾向にあり、売却の好機です。
高く売るためには複数社への査定依頼、売却時期の見極め、内覧時の印象向上といった工夫が欠かせません。
また何より重要なのが、不動産業者の選定です。
不動産会社を選ぶ際は査定の結果を比較したうえで口コミ評判なども確認し、適切な業者を選びましょう。

