空き家投資とは?リスクの大きさと向き合うべき判断ポイントを解説
「空き家投資はおすすめの投資方法?」
「空き家をリフォームして貸し出せば、費用も抑えられる?」
結論から述べると、空き家投資は物件の見極めがとても難しく、想定外のリスクに直面しやすい投資手法のため、基本的におすすめはできません。
この記事では、空き家投資の仕組みや一般に語られるメリットを紹介しつつ、なぜ慎重な判断が必要なのかを解説します。
1.空き家投資とは

空き家投資とは、空き家を安価で購入し、リフォームなどをして賃貸・売却することです。
物件価格が数百万円程度から購入できる物件もあるため、初期費用の少なさと、うまくいった場合の高利回りが魅力とされています。
しかし、魅力的な空き家を安価で入手すること自体の困難さ、不動産投資についての深い知見が求められるなどのデメリットがあり、収益につながりにくいという側面もあります。
2.空き家投資が注目されている背景

空き家投資が注目されているのは物件の価格が安く、条件によっては高利回りを狙えるためです。
加えて、近年日本では空き家が増え続けており、政府や自治体も様々な法規制や取り組みを進めています。
このことから、空き家投資は収益性だけでなく社会貢献としての側面からも注目されているのが現状です。
「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」によると日本の空き家数は900万戸と過去最多となっています。
このような社会問題に貢献しつつ、収益を得られる手段として、空き家投資が注目されています。
3.空き家投資のメリット

空き家投資のメリットとして語られる五つのポイントを紹介します。
- 数百万円程度の資金から始められる
- 高利回りが狙える可能性がある
- 土地が残るため複数の出口戦略の選択肢がある
- 空き家問題の解決へ貢献できる
- リノベーションやDIYの自由度が高い
(1)数百万円程度の資金から始められる
空き家投資は初期費用数百万円~と、比較的安価で始められます。
物件価格が100万〜500万円程度という物件も存在しており、ファミリータイプのマンションなどに比べると購入費用はかなり安めです。
空き家を実際に賃貸するには事前のリフォームが必要ですが、状態が良ければリフォーム費用も抑えられるなど、比較的低コストで投資を始められるでしょう。
(2)高利回りが狙える可能性がある
空き家投資は、一般的な中古物件と比べて総投資額(初期投資額)が大幅に低いため、結果として利回りが高くなりやすい特徴があります。
実際に、総投資額に対して10〜15%前後の表面利回りが狙えるケースもあるでしょう。
これは一般的な中古区分マンション投資(5〜7%前後)と比較すると高い水準であり、利回り的には魅力がある投資方法といえます。
(3)土地が残るため複数の出口戦略の選択肢がある
空き家は土地付き戸建てが多く、最終的には土地としての売却が可能です。
仮に賃貸経営がうまくいかない場合には、建物を解体したうえで土地のみの売却、あるいは駐車場などとして活用できる可能性があります。
通常の物件よりも出口戦略が多いことは、空き家投資のメリットの一つです。
土地の売却の流れやポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
(4)空き家問題の解決へ貢献できる
空き家投資は収益性だけでなく、空き家問題の解決にも寄与する投資です。
空き家を放置すれば景観の悪化や治安リスク、倒壊の危険性がありますが、これらを再活用すればそのリスクを減らせます。
政府や自治体も力を入れている空き家対策に貢献することができれば、社会的な意義がある投資方法であるといえるでしょう。
(5)リノベーションやDIYの自由度が高い
空き家は売主が手を加えず現況のまま売るケースが多く、リノベーションの自由度が高いです。
DIYが好きな方であれば、自分の手でリフォームすることで費用を抑えながら、付加価値の高い物件に再生する楽しみも得られるでしょう。
工夫次第で物件の価値と収益性を大きく引き上げられる点が、空き家投資ならではの魅力です。
4.空き家投資に伴うリスクやデメリット

空き家投資は低コストで始められるのが魅力ですが、相応のリスクがあることも理解しておきましょう。
- リフォーム費用が予算を大幅に超えるケースがある
- 賃貸需要が見込めないエリアもある
- 融資が難しい場合がある
- 登記や境界線など権利関係が複雑になる場合がある
- 空き家の立地によっては管理が難しい
(1)リフォーム費用が予算を大幅に超えるケースがある
空き家投資は購入した空き家をそのまま賃貸・売却するわけではなく、リフォームが前提となっています。
リフォームの費用は物件の状態によって変動しますが、築古物件だと外から見えない欠陥が見つかり、リフォーム費用が膨大になるケースも考えられます。
購入した当初は数十万円程度ですむと思っていたのに、工事を進めるとシロアリ被害や配管劣化などが見つかり、リフォーム費用が追加でかかり、最終的に数百万円から一千万円以上にも及ぶ可能性もあります。
リフォーム費用が想定を超えると、当初想定していた利回りは大幅に低下しますので、空き家投資のメリットが大きく損なわれることになるでしょう。
(2)賃貸需要が見込めないエリアもある
空き家が大量に発生しているエリアの多くは、人口減少や高齢化が進んでいる地域です。
空き家率が高い地域では、そもそも賃貸ニーズも低く、いくらリフォームしても入居者が見つからないリスクがあります。
リフォームに数百万円を投じた後で「入居者が決まらない」、「家賃を大幅に下げざるを得ない」という事態に陥れば、投資した金額の回収は極めて困難です。
(3)融資が難しい場合がある
空き家投資では、金融機関からの融資を受けにくいです。
築古の戸建ては担保価値が低く評価され、また旧耐震基準(1981年5月以前)の物件などは融資対象外となるケースがほとんどです。
そのため、現金一括での購入が前提となるか、リフォームローンや日本政策金融公庫などの利用が選択肢となります。
空き家投資は手元にある程度の現金がなければ、安易に始められない点がデメリットです。
(4)登記や境界線など権利関係が複雑になる場合がある
空き家には各種の法的なトラブルが潜んでいる場合があります。
例えば、以下のような権利関係の問題が考えられます。
- 境界が未確定
- 私道の通行権が曖昧 など
権利関係に問題がある物件は購入条件の段階から交渉が難航するうえ、隣人とのトラブルの原因にもなりかねないため、事前に権利関係をよく調べておきましょう。
(5)空き家の立地によっては管理が難しい
空き家は地方や郊外に多く、管理が難しい場合が多いです。
そのため、家主自身が管理する場合には入居者の対応や設備故障の手配などの手間が大きくなります。
特に築古の物件は配管トラブルや雨漏りなど突発的な修繕も発生しやすく、対処しなければならない事象は一般的な物件よりも多いです。
地元の不動産管理会社へ委託することが多いと思いますが、管理委託費用がかかりますので自分で管理するよりも利回りが低下します。
5.空き家投資にかかる資金一覧と調達方法

空き家投資に必要な資金は、物件価格だけでなく複数の要素から構成されます。
トータルでいくらかかるのか、現実的な内訳を確認しておきましょう。
| 費用 | 目安金額 | 備考 |
| 物件購入費 | 100万~数百万円程度 | エリア・築年数・状態で変動 |
| リフォーム費用 | 100万~1000万円程度 | 想定超過のリスクが高い |
| 諸費用(登記・仲介手数料・税金) | 物件価格の8~10%程度 | 司法書士費用・不動産取得税など |
| 解体費用(更地化する場合) | 100万~数百万円程度 | 木造戸建ての場合の目安 |
トータルでは、300万〜2,000万円程度の資金が必要になるのが一般的です。
「100万円台で物件を購入できる」という情報だけを見て安易に始めると、その後のリフォーム費用や諸費用で資金が尽きるケースもあります。
6.空き家投資の始め方

空き家投資に取り組みたい場合には、以下の5ステップで進める必要があります。
- 投資する空き家を探す
- 資金計画を立てて融資先を確保する
- 物件を購入する
- リフォームを実施する
- 入居者を募集する
ただし、これらの手順を踏んでも、すでに述べたリスクが消えるわけではない点を改めて意識しましょう。
(1)投資する空き家を探す
まずは投資対象の空き家を探しましょう。
空き家の検索は不動産会社のオンラインサイトでも可能ですが、空き家バンクなどの自治体が運営するポータルサイトなども活用できます。
空き家バンクは各自治体で運営されているので、投資対象エリアを絞り込んで探すと便利です。
全国版の場合は「アットホーム 空き家バンク」などを使うことも検討しましょう。
(2)資金計画を立てて融資先を確保する
物件を見つけたら、購入費や運転資金を含めた総額で資金計画を立てましょう。
融資を活用する場合は、複数の金融機関に事前相談を行い、融資条件の見通しを立てておきます。
融資を受けることが難しい場合には、自己資金での購入を検討することになりますが、その際にはリフォーム費用などの金額も合わせて見積もっておくことが大切です。
特にリフォーム費用は、想定外の追加費用に備えて20%程度の金額をプラスで想定しておきましょう。
(3)物件を購入する
資金計画を立てたら、いよいよ物件の購入です。
物件購入時は、売買契約書の内容を細部まで確認し、必要に応じて司法書士などの専門家のサポートを受けながら手続きを進めます。
特に、登記情報や境界の確定状況、私道負担の有無、過去の修繕履歴など、トラブルにつながりやすい項目は念入りにチェックしましょう。
(4)リフォームを実施する
物件取得後は、リフォーム計画に沿って工事を進めていきます。
工事中は定期的に現地を訪れ、進捗状況や追加工事の必要性を確認することが大切です。
業者任せにすると、想定外の追加工事や品質トラブルなどが生じ、修正コストが膨らむ原因にもなるため、オーナー自身でも進捗を確認しておきましょう。
(5)入居者を募集する
リフォーム完了後は、地元の不動産仲介会社に募集を依頼して入居者を探します。
近隣物件の相場やリフォームによる付加価値などを踏まえ、適切な家賃を設定しましょう。
入居者からの問い合わせや内見対応などは、仲介不動産会社が代行してくれます。
入居希望者の審査の最終判断はオーナーが実施するため、書類をもらって信頼できる人か見極めたうえで、審査結果を出しましょう。
7.空き家投資に関するよくある質問

空き家投資について、特に多く寄せられる質問を三つ紹介します。
- 空き家投資を始めるにはどのくらいの資金が必要ですか?
- 空き家バンクで空き家を買うメリットはありますか?
- 空き家投資はどんな人に向いていますか?
(1)空き家投資を始めるにはどのくらいの資金が必要ですか?
空き家の価格やリフォーム費用によって変動しますが、300万〜800万円程度が目安です。
ただし、築古であるほどリフォーム費用は高額になります。
また、空室期間や修繕が増える傾向にあるので、別途運転資金を確保しておくと安心です。
(2)空き家バンクで空き家を買うメリットはありますか?
空き家バンクは自治体が運営しているため、市場相場よりも安い物件に出会える可能性や、自治体による補助金・支援制度を活用できる可能性があります。
ただし、空き家バンクに登録される物件の多くは、市場で売れにくいエリア・物件であることが少なくありません。
価格の安さや補助金だけで判断せず、賃貸需要や物件の状態を冷静に評価しましょう。
(3)空き家投資はどんな人に向いていますか?
結論から述べると、空き家投資は不動産投資の初心者には向いていません。
そもそも収益性の高い物件の見極めが困難かつ、そのような条件の物件はすぐに売れてしまうためです。
適性のある人を挙げるとすれば、不動産投資の経験が豊富で、建築・リフォームの知識があり、対象エリアに土地勘がある方でしょう。
そうでない場合は、まずは区分マンション投資など、リスクが比較的見通しやすい不動産投資から検討してみましょう。
区分マンション投資の特徴やポイントについては、以下の記事もご覧ください。
まとめ
空き家投資は、少額から始められて高利回りを狙える可能性がある一方、リフォーム費用の超過、賃貸需要の不足、権利関係の複雑さなど、多くのリスクが潜んでいます。
空き家投資を始めたい方は、好条件の物件が出回るまでは安易に物件を購入しないのが一番のポイントです。
不動産投資の初心者であれば、まずはリスクが比較的見通しやすく、流動性も一定程度確保されている投資手法を経験してから始めるのがおすすめです。
監修者
塚田 拓士
不動産鑑定士
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。
新卒で東京国税局に入局し、相続税の税務調査を担当しながら不動産鑑定士試験に合格。2007年にフィンテックグローバル(FGI)に入社し、事業再生、事業承継投資やPMI等を経験したのち、不動産M&Aによる投資事業を始め、FGIの主要事業に育てた。現在は不動産M&Aや投資商品の販売を推進している。

