不動産売却の事例から学ぶ!成功と失敗のポイントを徹底解説
「不動産売却の事例が知りたい」
「売却に成功した人はどんなことをしているのか?」
所有している不動産の売却について、このような悩みや疑問をお持ちの方もいると思います。
この記事では、実際の不動産売却事例を紹介しながら、成功のポイントと失敗の注意点について詳しく解説します。
1.不動産売却の基本

不動産売却の基本的な知識としては、以下が挙げられます。
- 不動産売却とは
- 売却価格を決める要素
- 売出価格の決め方
売却の全体像を理解してから進めることで、スムーズな取引が可能です。
(1)不動産売却とは
不動産売却とは、所有する土地や建物を譲渡し、対価を得る取引のことです。
主に仲介と買取の二つの方法があり、仲介は不動産会社を通じて買主を探す方法で、買主が見つかりやすい不動産であれば、市場価格に近い金額での売却が期待できます。
一方、買取は不動産会社が直接買い取る方法で、仲介より価格は下がりますが、買主が見つかりにくい不動産であっても、短期間で比較的確実に現金化できるメリットがあります。
売却理由は住み替えや相続、資金調達など様々なものがあり、それぞれの状況に応じた最適な売却方法を選ぶことが大切です。
なお、仲介による不動産の売却の流れや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
(2)売却価格を決める要素
不動産の売却価格は、立地条件や築年数、建物の状態、周辺環境などの複数の要素によって決まります。
立地条件では、駅からの距離や周辺施設の充実度が価格に大きく影響します。
築年数は古いほど価格が下がる傾向にありますが、適切なメンテナンスやリフォーム歴があれば評価が高まることもあります。
また、経済動向や不動産市場の動向も重要な要素で、不動産市場が活況な時期は高値での売却が期待できるでしょう。
そのため、これらの要素を把握したうえで、売却するタイミングについて検討することが最も大切です。
(3)売出価格の決め方
売出価格とは、売主が仲介に出す際に設定する希望価格のことです。
一方、成約価格は実際に買主と合意した最終的な売買価格を指します。
売出価格は、不動産会社が出した査定価格を基に決めますが、多くの場合は交渉の過程で値引きが発生するため、成約価格は売出価格より低くなるのが一般的です。
そのため、売出価格を設定する際は、ある程度の値引き交渉を見込んでおくことが有効ですが、相場よりも高すぎると引き合いがなくなるので、売出価格の設定はスムーズな売却のために重要となります。
また、どの程度まで値引きに応じるのかをあらかじめ決めておくことが大切です。
2.不動産の売却に成功した事例

仲介によって不動産売却を成功させた事例については以下のようなものがありますので、参考にしてみてください。
- マンションを売却したケース
- 戸建てを売却したケース
- 住宅ローンの返済が難しく不動産売却に踏み切ったケース
(1)マンションを売却したケース
マンションは都市部を中心として需要が高い傾向にあります。
また、近年では土地の価格高騰に伴い、マンション価格も高騰しており、投資用の物件としても注目を集めています。
マンションの売却事例のなかでも、以下のようなものが特徴的です。
- 高額での売却に成功した事例
- 時間に余裕をもって計画的に売却した事例
- 内覧準備を万全にして売却を行った事例
それぞれの内容やポイントについてご説明します。
1:高額での売却に成功した事例
まず紹介するのは、投資用マンションを高額で売却することができた事例です。
このケースでは、売主が相場を上回る4,500万円で売却ができました。
売主は、売出価格を決める際、複数の不動産仲介業者による査定を活用し、最も高い価格を売出価格に決定しました。
査定額の平均は4,000万円でしたが、売出当初は4,680万円という、相場よりも高めの金額で開始し、市場の反応をみながら価格を調整することにしました。
強気な価格設定もあり、なかなか買い手がつきませんでしたが、賃料を適正価格に値上げすることで利回りを改善させると、状況が一変し問い合わせが急増しました。
結果的に、それが決め手となり、売却活動を開始してから5か月間で売却につながりました。
このケースのように、投資用物件の場合には利回りの改善により物件の価値を向上させ、やや強気の価格設定であっても成約させることができることがあります。
もし売却する不動産が法人が保有する不動産である場合、不動産そのものを売るのではなく、その不動産を保有する法人ごと売却する「不動産M&A(株式譲渡)」のほうが、税引後の手取り額が多くなるケースがあります。
2:時間に余裕をもって計画的に売却した事例
次に紹介するのは、自宅マンション売却に4〜5か月の期間を確保し、余裕をもって売却活動を進めたケースです。
自宅買い換え時の住宅ローンの条件などにより売却期限が定められていることがあると思います。
その場合でも、早期に売却活動を開始したことで、焦って値下げする必要がなかったことが売却の成功につながったといえます。
通常、仲介による不動産の売却は、2~3か月程度の期間を要しますが、状況によってはさらに売却活動が長引くことも珍しくありません。
そのため、売却活動が長引くにつれて、大幅な値下げを行ってしまい、当初に想定していた金額よりも低い額で売却してしまうこともあります。
しかし、この事例では事前に売却の基礎知識を学び、十分な準備をし、不動産仲介会社や買主とのコミュニケーションを丁寧に行ったことにも成功の要因がありました。
その結果として、相場から大きく外れない適正価格での売却に成功しています。
3:内覧準備を万全にして売却を行った事例
三つ目の事例は、内覧対応に力を入れて早期売却を実現したケースです。
住宅を売却する際には、購入希望者を対象にして内覧が行われることが一般的です。
特に自宅の売却の場合、内覧の印象が物件売却活動の成功を左右するともいわれています。
この事例では、内覧の前に玄関と水回りを中心に徹底的に清掃を行い、室内の整理整頓も実施しました。
また、この物件ではペット飼育をしており、室内での喫煙習慣もあったことから、ペットやタバコの臭い対策を入念に実施し、ハウスクリーニングも活用して第一印象を大幅に改善しました。
さらに、立地や治安、周辺環境など「住んでみて分かる情報」を事前に整理し、内覧時に丁寧に説明したことで、内覧に来た方の印象が良くなり、早期の申込みにつながりました。
(2)戸建てを売却したケース
戸建て住宅はマンションと比較すると売却に時間がかかる傾向があるともいわれています。
その理由は、戸建て住宅の場合には一般的に新築のほうが需要があること、中古住宅の性能評価の仕組みがあまり知られていないこと、担保評価などに用いられる耐用年数が税法の耐用年数であり、木造住宅の耐用年数が極端に短いことなどがあります。
戸建て住宅の売却を成功させるためには、このような事情などについても把握しておくことが大切といえるでしょう。
なお、戸建て住宅の売却に成功した事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 築古の家を現状のまま売却したケース
- 相続した実家を買取によって売却したケース
- 古家付き土地を更地にして売却したケース
順に見ていきましょう。
1:築古の家を現状のまま売却したケース
本事例は、築年数が40年を超える家を現状のまま売却したケースです。
通常、築古の家はリフォームをしてから売却することが多いですが、この物件では数年前にフルリフォームを実施したことから、内装と外装が新築に近い状態に見えました。
そして、仲介業者に相談したところ、新たにリフォームなどをしなくても十分に売却することができると言われたので、そのままの状態で売却活動を開始しました。
その結果、当初の想定通りに購入希望者が比較的早期に現れ、約3か月で成約に至りました。
このように、古い家でも大規模修繕やリフォームをし、普段からしっかり手入れをし、清掃などを怠らなかったことで、早期売却につながった事例といえます。
2:相続した実家を買取で売却したケース
二つ目は、遠方の実家を相続し、スピード重視で不動産買取を選択して売却を成功させたケースです。
すでに述べたように、不動産の売却を行う場合には、仲介と買取の二つの方法があります。
仲介による売却では、特に中古住宅の場合は、買い手が現れるまでに時間がかかり、また、価格や中古住宅特有の条件交渉などもある場合も多いため、売却活動が長期化する傾向があり、地方によっては1年~数年かかることも珍しくありません。
これに対して、不動産業者による買取は、仲介による売却より売却価格が下がる傾向にあるものの、最短で数日で売却ができるケースもあります。
この事例では、スピーディな売却を進めるために、買取による売却を選択した点に特徴があります。
遠方の実家のため、何度も現地へ行くことが難しい方には、不動産買取という選択が最適解になりうるということも押さえておきましょう。
3:古家付き土地を更地にして売却したケース
三つ目は、築年数が50年以上、空き家になってから長期間が経過しており、住むことができる状態ではなくなっていた古家付き土地の売却事例です。
木造住宅の法定耐用年数は22年程度ですが、平均的な木造住宅の寿命は約30~40年ともいわれています。
それを超える築年数、特に1981年以前のいわゆる旧耐震基準で建築された住宅は買い手がつきにくく、売却の対象となりにくくなります。
しかし、一般の方が解体業者を探して古家を解体してもらうのはハードルが高いため、通常は買主が古家を解体する前提で、現状のまま古家と土地を一括で売却することが多いです。
この事例でも、当初は古家付きで売り出しましたが、反応が得られませんでした。
しかし、土地の立地自体は良いことから「古家があることが売却の障害になっている」と考え、知人の伝手をたどって解体業者を探し、更地化してから再度売り出し、その後約1か月で成約に至りました。
本件では、立地が良かったので更地化した方が高く・早く売ることができました。
(3)住宅ローン返済が厳しいケース
住宅を購入する場合には、現金で一括で支払うことが難しいことから、住宅ローンを組んで購入し、毎月の返済を行うことが一般的です。
しかし、様々な理由から、当初の返済計画通りに住宅ローンの支払いができなくなるケースも珍しくありません。
そのような場合には、住宅を手放さなければならないことも多いですが、売却によって解決を図った事例もあります。
- 残債が不動産価格を上回るなかで任意売却を実施した事例
- 売却によって住宅ローンとカードローンを完済できた事例
- 税金の滞納と差押えに対して任意売却によって解決した事例
- 競売開始後に任意売却へ切り替えることができた事例
それぞれの事例について詳しく見ていきましょう。
1:残債が不動産価格を上回るなかで任意売却した事例
一つ目は、残債が不動産価格を上回った状態で任意売却を行った事例です。
このケースでは、住宅価格の下落により、相場価格で売れた場合の金額を住宅ローンの残債の額が上回ってしまっていました。
具体的には、物件の査定を行ったところ、住宅ローン残高が3,700万円であるのに対して、売却の査定額は2,900万円と試算されました。
このまま通常の売却をしても800万円以上の不足が出てしまうため、売主は金融機関の同意を得たうえで、2,850万円で任意売却を実施しました。
売却代金で完済しきれなかった残債については、金融機関と交渉し、別途返済計画を立てています。
この交渉の際には、不動産会社が間に入り、査定価格の妥当性や売主の家計状況を説明しながら条件調整をサポートしました。
その結果、競売にかけられる前に売却を完了することができ、売主は今後の返済負担を把握したうえで生活再建の目途を立てることができた事例です。
2:売却によって住宅ローンとカードローンを完済できた事例
二つ目のケースでは住宅ローンの残債4,100万円に加えて、カードローン約250万円の債務を抱えていました。
このように2件以上の債務を抱えていることを多重債務ということがあります。
多重債務の返済を行うことができない場合には、債務整理などの手続きを行ったうえで債務の軽減や免除を受ける必要がありますが、そのなかで、所有者は住宅の売却に踏み切りました。
マンションの売却活動を進めた結果、4,650万円での成約に至り、売却代金から住宅ローンとカードローンの全額を返済することができました。
諸費用などを差し引いた後も、手元には100万円以上の資金が残り、自己破産を選ばずにすんだ事例です。
この方は、不動産の売却によって得たお金で複数の債務を一度に整理し、家計の立て直しにつなげることができました。
3:税金の滞納と差押えに対して任意売却によって解決した事例
この事例は、税金の滞納によって不動産が差し押さえられ、さらに住宅ローンの延滞も発生していたケースです。
差押えが続けば公売や競売に進むリスクが高まる状況のなか、任意売却によって3,850万円での売却に成功しました。
売却代金を活用して税金滞納分の解消とローン返済を進めるとともに、金融機関と支払い条件の変更についても交渉を実施しました。
その結果、差押えを解除しつつ債務を整理し、今後の生活再建の見通しを立てることができました。
4:競売開始後に任意売却へ切り替えることができた事例
この事例は、住宅ローンの返済が滞り、すでに競売手続きが開始されていたケースです。
裁判所による競売は、プロ向けといわれることが多く、買い手の目線が厳しいことから市場価格よりも低い額でしか売却できないケースが多く、このまま競売に進むと売却価格が大きく下がる可能性がありました。
そのため、所有者は家族とも話し合いのうえ、任意売却を行うことに方針を転換しました。
任意売却の結果、約2,600万円で売却することができ、競売よりも有利な条件で現金化に成功しました。
3.不動産の売却に失敗した事例

事前準備や情報収集を怠ったり、見通しを立てなかったりすると、売却活動が長期化することや希望の価格よりも低い価格でしか売却できずに失敗することもあります。
例えば、以下のようなケースが失敗事例として多くあります。
- 不動産会社選びに失敗したケース
- 媒介契約やコミュニケーションで失敗したケース
- 相場や売却時期の把握に失敗したケース
- 費用・税金・申告に関して失敗したケース
(1)不動産会社選びに失敗したケース
仲介による不動産の売却事例で起こりやすいのが、不動産会社の選び方に問題があるケースです。
売主はなるべく高い価格で不動産を売却したいと考えるため、複数社に不動産の査定を依頼することが一般的です。
この事例でも、3社に査定を依頼し、「一番高い査定額を出してくれた会社ならお得だろう」と考えて、その会社とだけ専属専任媒介契約を結んでしまいました。
しかし、その査定額は周辺相場よりもかなり高く、結果として売出価格も割高になってしまいました。
これは不動産業界ではよくあることで、専任媒介契約を取るためにあえて相場よりも高い査定額を出す不動産仲介業者はたくさんいますし、ノルマに追われている不動産会社の営業担当者が、高いことはわかっていて媒介を取るために高値での査定をすることもよくあります。
その影響で、数か月経っても内覧希望や購入申込みがほとんど入らず、途中から何度も値下げをする事態となってしまったのです。
最終的には、他社が最初に出していた査定額と同じくらいの価格まで下げて、ようやく成約に至りました。
そして、高い査定額を出した不動産仲介業者は仲介手数料を受け取ることができました。
売主は「最初から妥当な価格を出してくれた会社を選んでいれば、もっと早く売れたかもしれない」と後悔したという事例です。
(2)媒介契約やコミュニケーションで失敗したケース
不動産会社に仲介を依頼する際には、その会社と媒介契約を結んだうえで売却活動を進めていきます。
しかし、媒介契約にも種類があり、違いを理解したうえで選択しなければ売却活動がうまく進まなくなる可能性があることに注意が必要です。
この事例では、「たくさんの会社に動いてもらった方が早く売れるはず」と考え、一般媒介契約で複数の不動産会社と契約しました。
ところが、どの会社からも具体的な活動報告がほとんどなく、「問い合わせが何件来ているのか」、「内覧はどれくらい行われているのか」といった状況が売主には見えないまま時間だけが過ぎていきました。
これは、一般媒介契約では売主に対する売却活動の報告義務が法律で課されておらず、報告の頻度が不動産会社の運用に委ねられていることに理由があります。
また、余談ですが、多くの不動産仲介会社では、他社に取られるかもしれない一般媒介契約よりも、契約期間内であれば確実に自社で売れる専任媒介契約を重視して広告宣伝費をかけますし一般媒介の物件よりも優先して案内するなど営業にも力を入れています。
このケースでは一般媒介契約にした結果、「価格を見直すべきなのか」「広告や写真を変えるべきなのか」「どの会社に改善を求めればよいのか」といった情報を不動産仲介会社から得られず、親身になって相談してもらえなかったので、売主も合理的な判断ができず、効果的な販売戦略を立てられませんでした。
一般・専任・専属専任といった媒介契約の違いを理解しないまま、なんとなく契約してしまったことが原因となった失敗事例です。
(3)相場や売却時期の把握に失敗したケース
不動産を希望に近い価格で売却するためには、自分が所有する不動産の相場を正しく把握することはもちろん、不動産市場の市況を分析したうえで適切な売却時期を設定することも大切です。
この事例では、周辺の相場や同じマンションの成約事例を自分では調べず、不動産会社から提示された金額だけを頼りに売却をスタートしました。
売り出してからすぐに成約したものの、その後、同じマンション内の別の住戸が自分の売却価格よりも数百万円高い価格で売れたことが判明しました。
売主は「相場感や売り時を事前に確認していれば、もっと良い条件で売れたはずだ」と強く後悔しました。
相場調査や市場のタイミングを、不動産会社任せにしすぎたことが失敗のポイントといえます。
(4)費用・税金・申告に関して失敗したケース
売却価格ばかりに目が向き、かかる費用や税金を細かく見積もらないまま資金計画を立ててしまったケースです。
特に仲介による不動産売却では、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があり、そのほかにも様々な費用やコストがかかります。
この事例でも、実際に売却を進めると仲介手数料や司法書士報酬、引越し費用などの諸費用が想定よりも膨らみました。
加えて譲渡所得税や印紙税、登録免許税といった税金も発生したことから、最終的に手元に残る現金は大幅に目減りしてしまったのです。
当初は「売却代金の一部を次の住まいの頭金に充てる計画」でしたが、諸費用と税金で資金が足りなくなり、購入計画そのものを見直さざるを得ない状況になりました。
売却前に費用と税金を具体的に試算しておかなかったことが失敗につながった事例といえるでしょう。
4.不動産の売却事例を調査する方法

不動産売却を進める前には、類似の物件について売却事例を調査することが重要です。
売却事例を閲覧する方法や閲覧できる事例数には限りがある場合も多いですが、主に以下のような調査方法が挙げられます。
- レインズの不動産売買事例を確認する
- 不動産情報ライブラリを使う
- ポータルサイトの売出価格をチェックする
どのような情報を得ることができるのかについても、併せてご説明します。
(1)レインズの不動産売買事例を確認する
レインズ(Real Estate Information Network System)は、不動産会社が利用する物件情報ネットワークです。
不動産会社と専任・専属専任媒介契約を結び、物件が登録された売主は、登録証明書を使って自分の物件が正しく登録されているか(囲い込みされていないか)を専用画面で確認することができます。
また、不動産会社ではない一般の方でも「レインズ・マーケット・インフォメーション」を利用すれば、過去の成約事例を閲覧することが可能です。
この方法では、実際の成約価格を把握することができるため、不動産相場をつかむためにも有効といえるでしょう。
(2)不動産情報ライブラリを使う
不動産情報ライブラリとは、国土交通省が不動産取引価格情報提供制度に基づき、実際に不動産取引価格を収集したデータを閲覧できるサービスです。
もともとは「不動産取引価格情報検索システム」「土地総合情報システム」という名前で提供されていましたが、令和6年より上記名称に統合されています。
このサービスでは、実際に取引を行った人へのアンケートをもとにして、取引価格や時期、最寄駅や所在地、土地面積や用途などが公開されています。
このシステムは、「近隣でどのような条件の物件がいくらで売れているか」を調査するのに役立つので、相場調査の際に使用するとよいでしょう。
(3)ポータルサイトの売り出し価格をチェックする
SUUMO、LIFULL HOME’Sなどの不動産ポータルサイトでは、現在売り出されている物件の「売出価格」を一覧で確認することができます。
売出価格は成約価格とは異なり、値下げや価格交渉を見越してやや高めに設定されていることも多い点には注意が必要です。
しかし、同じエリアで似た築年数かつ類似する間取りの物件を複数比較すれば、市場価格の推移を観測することができます。
ポータルサイトは今の市場の雰囲気を知るのに役立つので、公的データやレインズと合わせて閲覧することで、精度の高い価格イメージを知るのに役立つでしょう。
5.不動産売却事例から分かる成功のポイント

不動産の売却を成功させるためには、事前の準備や計画的な売却活動を進めることが必要不可欠です。
具体的には、以下のポイントを押さえることが重要といえます。
- 相場調査やスケジュール確認を綿密に行う
- 適切な売出価格を設定する
- 市場タイミングを把握している
- 内覧準備を丁寧に実施する
- 媒介業者や仲介業者とのコミュニケーションを密にとる
これらを実践することで、売却が成功する可能性を高めることができるでしょう。
(1)相場調査やスケジュール確認を綿密に行う
成功事例に共通するのは、事前の情報収集と計画立案を入念に行っていることです。
具体的には、各種サイトや公的データを活用して相場を把握し、類似物件の売却事例を複数確認して、売主自身も相場をしっかり把握しています。
また、売却完了までに必要な期間を把握し、余裕を持ったスケジュールを組んでいます。
スケジュールに余裕がない場合には、焦って値下げをせざるを得ないなど、不本意な金額で物件を手放すことになりかねません。
そのため、不動産の売却を成功させるためには、十分な相場調査と余裕を持った売却スケジュールの設計が欠かせません。
(2)適切な売出価格を設定する
不動産の売却を成功させた売主は、査定価格を鵜呑みにせず、自身でも相場を調査して適正価格を見極めています。
高すぎる価格設定は反響が得られず、安すぎる価格設定は損失につながるため、不動産業者が提示する価格だけに依存せず、自分でも相場を把握するのが大切です。
複数の不動産会社から査定を取り、その根拠を確認したうえで、市場相場に即した価格を設定しましょう。
(3)市場タイミングを把握している
不動産市場には、売れやすい時期と売れにくい時期があります。
賃貸の場合は一般的に、転勤や進学シーズンの前である1〜3月は需要が高まります。
このように売却にも有利な時期というものがあります。
また、不動産市場全体の動向も重要で、価格が上昇傾向にあるときは強気の価格設定を行うことが可能です。
このように、市場のタイミングを意識して売却活動を開始することが成功につながります。
(4)内覧準備を丁寧に実施する
内覧は、購入希望者が実際に物件の内部を確認するためのものであり、購入判断に直結する重要な機会です。
成功事例では、玄関や水回りを中心に徹底的に清掃し、室内を整理整頓しています。
また、臭い対策も重要で、ペットやタバコの臭いは購入意欲を大きく下げる要因となるため、業者を入れて消臭作業などをしておくのがおすすめです。
また、実際の内覧の際は、居住者だからこそ知っている周囲の治安の良さや周辺住民の人間性、暮らしやすさなど生活に密着した部分を言葉で伝えられるようにしておきましょう。
(5)媒介業者や仲介業者とのコミュニケーションを密にとる
上記のようなポイントに加えて、売却に成功した事例では、売却活動を不動産会社任せにせず、売主自身も定期的に状況確認を行っています。
これは、問い合わせ状況や内覧の反応を共有してもらい、必要に応じて価格や販売戦略の見直しを実施するためにも重要です。
また、物件のアピールポイントを不動産会社にしっかり伝え、二人三脚で売却活動を進める姿勢も欠かせません。
担当者とも信頼関係を築き、密なコミュニケーションを取ることが売却を成功させるためのポイントとなります。
6.失敗事例から見る不動産売却の注意点

様々な理由から不動産を当初想定していた金額で売却できない事例もあります。
不動産売却の失敗事例は、ほとんどの場合が事前準備や計画の立て方に問題があるケースといえるでしょう。
不動産売却で失敗しないためには、以下の点に注意しましょう。
- 不動産会社は査定額だけで選ばない
- 媒介契約と報告ルールを決める
- ローン残高や諸費用・税金の試算を必ず行う
- 設備の不具合やリスクを事前に不動産会社に共有する
(1)不動産会社は査定額だけで選ばない
不動産会社を選ぶ際は、査定額だけで選ばないようにしましょう。
高い査定額を提示する会社が必ずしもよい会社とは限りません。
なかには契約を取るために相場より高い査定を出し、売却活動開始後に値下げを繰り返し提案する会社も存在します。
そのようなリスクを回避するためにも、査定額の根拠を確認し、過去の売却実績や担当者の対応を総合的に判断して選ぶことが重要です。
複数社の査定を比較し、納得できる説明をしてくれる会社を選びましょう。
(2)媒介契約と報告ルールを決める
媒介契約と報告ルールを明確にしておくことも重要です。
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があります。
一般媒介は複数社に依頼することができますが、各社の販売意欲が低くなる可能性があり、活動報告義務もありません。
これに対して、専任媒介や専属専任媒介は1社のみとの契約ですが、専属専任なら1週間に1回以上、専任なら2週間に1回以上の定期的な報告義務があり、積極的な販売活動が期待できます。
契約前に報告頻度や連絡手段を明確にし、販売状況を把握できる体制を整えることが大切です。
(3)ローン残高や諸費用・税金の試算を必ず行う
売却の検討段階で、ローン残高や諸費用、税金のシミュレーションは必ず実施しましょう。
そもそも不動産を売却した場合、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。
買主との間で売買契約が成立するまでには、不動産会社に支払う仲介手数料が必要となるほか、不動産の測量や調査を行った際には、専門家に支払う報酬などのコストがかかるからです。
また、売却する不動産に住宅ローンの抵当権が設定されている場合には、売主が抵当権の抹消登記手続きを行わなければならず、登録免許税や司法書士への報酬といった負担も発生します。
これに加えて、売却によって利益が出た場合には、譲渡所得税や住民税などの税金を支払う必要が生じます。
そのため、不動産の売却に関して発生する費用と税金の項目や金額については、あらかじめ把握しておくことが重要です。
事前に概算を出し、手元に残る金額を正確に把握してから、次の住まいの購入計画や資金計画を立てましょう。
(4)設備の不具合やリスクを事前に不動産会社に共有する
設備の不具合やリスクがある場合は、事前に不動産会社や購入希望者へ共有することが売主の責任です。
民法改正により、売主は「契約不適合責任」を負うことになりました。
具体的には、契約時に伝えていなかった不具合が後から発覚すると、買主から損害賠償や代金減額を請求される可能性があります。
また、売買契約自体が解除されてしまうリスクもあるため、物件の状態や設備に関する情報はすべて把握したうえで共有することが売却を成功させるためにも重要です。
例えば、天井などの雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、把握している不具合は必ず事前に伝えましょう。
正直に情報を開示することが後々の法的トラブルを防ぐことにつながります。
まとめ
不動産売却を成功させるには、事前の情報収集と計画立案が不可欠です。
成功事例に共通するのは、相場調査を綿密に行い、適切な売出価格を設定し、内覧準備に力を入れ、不動産会社と密にコミュニケーションを取っていることです。
一方、失敗事例からは、査定額だけで不動産会社を選ばない、媒介契約の違いを理解する、諸費用と税金を事前に試算する、設備の不具合を隠さないことの重要性を学ぶことができます。
信頼できる不動産会社をパートナーに選び、自身でも知識を身につけ、余裕を持ったスケジュールで進めることで、満足のいく売却を実現できるでしょう。
なお、仲介による不動産売却はすぐには成約につながらないことが多いため、不動産をすぐに現金化したい場合には、信頼できる不動産会社を選んだうえで、買取による売却を行うことも検討してみましょう。
自身の状況とも照らし合わせながら、最適な方法で不動産の売却を進めていきましょう。
