マンション査定とは?|査定方法・評価ポイント・査定の流れを解説
「自分のマンションの査定額はどのようにして出されるのか」
「査定方法ごとの違いや、査定で重視される項目を知りたい」
マンション査定は、売却活動の出発点となる重要なプロセスです。
査定方法には複数の種類があり、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
この記事では、マンション査定の三つの方法、評価される五つのポイント、注意点、査定を受ける流れまでを解説しています。
1.マンション査定とは

マンション査定とは、不動産会社が対象物件のおおよその市場価値を算出することで、媒介契約の締結時や売出価格を決める際に行います。
実際の売却価格そのものは完全には予想できませんが、査定により「この物件であればこの金額で売れる可能性が高い」という予想価格を算出します。
これを査定額と言われることが多いのです。
売却活動を始める前に査定を受けることで、自宅マンションの市場価値を把握でき、売出価格の設定や売却スケジュールの計画を立てやすくなります。
査定は無料で受けられるため、売却を検討中の段階でも気軽に依頼できるのが特徴です。
2.マンション査定の方法

マンション査定の方法は、大きく三つに分かれます。
- AI査定
- 机上査定
- 訪問査定
それぞれ精度・手間・所要時間が異なるため、目的に応じて使い分けると良いでしょう。
(1)AI査定
AI査定は、人工知能が過去の取引データや成約事例から査定額を算出する方法です。
スマートフォンやパソコンから物件の所在地・築年数・専有面積などを入力するだけで、最短数分で結果が表示されます。
匿名で利用できるサービスも多く、不動産会社からの営業電話を受けたくない方や、まだ売却を決めかねている方に向いている方法です。
ただし、室内の状態や周辺環境までは反映されないため、あくまで参考価格と考えておきましょう。
(2)机上査定
机上査定は、不動産会社の担当者が物件情報や過去の取引事例、最新の市場環境などから価格を算出する方法です。
簡易査定とも呼ばれ、メールや電話で結果を受け取れるため、不動産会社の訪問の手間がありません。
机上査定のAI査定との大きな違いは、査定するのが人間である点と、最新の市場動向や担当者の経験値が反映される点です。
ただし、室内の傷み具合や眺望といった個別要素までは評価されないため、こちらもあくまで参考価格を知るためのものです。
また、査定を依頼すると、不動産会社から、売出をさせてください、媒介契約を締結してくださいといった営業を受けることになりますので、査定依頼をする会社の数はあらかじめ絞っておくのが賢明です。
なお、売却する気が無い場合はその後の営業電話を煩わしいと感じるかもしれません。
(3)訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際にマンションを訪れ、室内や共用部、周辺環境までを直接確認したうえで査定額を出す方法です。
三つの査定方法のなかで最も精度が高く、売却活動を本格的に始める段階では訪問査定が必須となります。
所要時間は1時間程度が目安で、査定結果が手元に届くまでには数日〜1週間ほどかかるのが一般的です。
訪問査定は媒介契約を結ぶ前段階に実施される査定の方法で、この結果を比較することで信頼できる不動産会社の見極めにも役立つでしょう。
3.マンション査定で評価されるポイント

マンション査定では、複数の評価項目を総合的に判断して価格が決まります。
ここでは特に重要な五つの評価ポイントを解説します。
- 立地や交通アクセス
- 築年数や耐震性能
- 階数・方角・眺望
- 専有面積や間取り
- 管理状態・修繕積立金の金額
(1)立地や交通アクセス
マンション査定で評価されるのは、立地や交通アクセスです。
立地条件は、最寄駅からの徒歩分数や利用可能な路線数、ターミナル駅へのアクセスなどが評価対象となります。
このような要素は、住む人にとって通勤や生活のしやすさに直結するため、物件の価格に大きく影響します。
そのほか、スーパーや病院、学校などの生活利便施設が近くにあるかどうかも、査定額に影響を与える要素です。
(2)築年数や耐震性能
マンションの査定では築年数や耐震性能もチェックポイントとなります。
築年数はマンションの価値を測る基本的な指標であり、築浅物件ほど高値がつきやすく、築年数が経過するほど価値は段階的に下がります。
東日本レインズが発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」によると、築25年を境に中古マンションの成約価格の下がり幅が大きくなっているのが実情です。
| 築年帯 | 平均価格(万円) |
| 築5年以内 | 7,808 |
| 築6〜10年 | 7,156 |
| 築11〜15年 | 6,619 |
| 築16〜20年 | 5,972 |
| 築21〜25年 | 5,320 |
| 築26〜30年 | 3,835 |
| 築31〜35年 | 2,455 |
| 築36〜40年 | 2,742 |
| 築41年~ | 2,351 |
加えて、地震が多い日本では耐震性能も物件の価値に直結します。
地震発生によって物件の価値が損なわれるリスクがなく、安全性が高い物件がより売れやすくなるでしょう。
(3)階数・方角・眺望
同じマンションのなかでも、住戸の階数・方角・眺望によって査定額に差が生じます。
一般的に高層階ほどセキュリティ面での安心感や眺望、日当たりの良さが評価されやすいからです。
また方角については、日当たりが良い南・南東向き、東向きの物件のほうが評価は高くなる傾向にあります。
反対に北向きの物件は日当たりが悪く、湿気がこもりやすいなどのデメリットがあることから、南向きの物件と比べるとやや価値が下がることがあります。
(4)専有面積や間取り
専有面積と間取りも、マンション査定の重要な要素です。
ファミリー向けの3LDK・4LDKは需要が安定しており、適切な面積(70〜90㎡程度)を備えた物件は評価が上がりやすくなります。
一方、極端に狭い物件やデッドスペースが多い間取りは買主層が限られるため、㎡単価が低めに算出されるケースもあるでしょう。
(5)管理状態・修繕積立金の金額
建物全体の管理状態と修繕積立金の状況も、マンション査定の価格に影響します。
エントランスや廊下、ゴミ置き場といった共用部の清潔感は、買主の第一印象を左右し、査定にも反映されます。
また、修繕積立金が長期修繕計画に沿って適切に積み立てられているか、過去の大規模修繕が計画通りに実施されているかも重要な評価ポイントです。
修繕積立金が著しく不足している物件や、管理組合の運営が機能していない物件は、買主が将来の費用負担を懸念するため査定額が下がる可能性があります。
4.マンション査定を利用する際に注意すること
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マンション査定を有効に活用するためには、事前に押さえておくべき注意点があります。
査定を正しく活用するためにも、以下の注意点を理解しておきましょう。
- 査定額は売却価格ではない
- 査定額の根拠を必ず確認する
- 不具合(瑕疵)を隠さない
- 査定を受けたからと売却を急がない
- 複数の会社で査定を受ける
(1)査定額は売却価格ではない
マンション査定額は売却価格とは異なることは理解しておきましょう。
査定額は、あくまで「この金額で売れる可能性がある」という不動産会社の予想値であり、売却が確約された金額ではありません。
実際の売却価格は、買主との交渉や市況の変化によって、査定額より上下することがあります。
「査定額=確定した売却価格」と考えてしまうと、売却計画にズレが生じる原因となることに留意しましょう。
(2)査定額の根拠を必ず確認する
マンション査定の金額が妥当かどうか、不動産業者に根拠の説明を求めましょう。
不動産業者の中には媒介契約を取りたいために、あえて高すぎる査定を出している業者があるからです。
提示された査定額が妥当かどうかを確認するためには、自分でも周辺のマンションの売出価格などを調べて、査定額と隔たりがないかチェックしましょう。
そして、不動産業者に対しても「なぜこの査定額か」を質問してください。
質問した際に周辺の成約事例や加点要素、減点要素についてしっかり説明できる業者は信頼性が高いです。
(3)不具合(瑕疵)を隠さない
マンション査定の際には、不具合を隠さず伝えることが重要です。
査定時に水漏れの履歴や設備の故障といった不具合を意図的に隠すと、後の売買契約で大きな問題に発展するリスクがあります。
買主に引き渡した後で瑕疵が発覚した場合、売主は契約不適合責任を問われ、損害賠償請求や契約解除の可能性もあるでしょう。
査定の段階で正直に申告すれば、不動産会社が適切な売却戦略を立てやすくなり、結果的にトラブル回避にもつながります。
(4)査定を受けたからと売却を急がない
マンション査定は売却前のステップですが、査定を受けたからといって必ず売る必要はありません。
不動産会社は査定後に契約を促してきますが、納得がいかないまま契約をしても後悔してしまう可能性があります。
査定はあくまで売却検討の材料であり、売却の意思決定とは切り離して考えましょう。
金額だけでなく、担当者の対応や提案内容に違和感を覚えた場合は、即決せずじっくり検討してから、媒介契約の締結先を選ぶことが大切です。
(5)複数の会社で査定を受ける
マンション査定は複数の会社へ依頼するのがよいでしょう。
複数社へ査定を依頼すれば、価格の妥当性だけでなく、各社の販売戦略や担当者との相性も比較できます。
不動産会社ごとに得意エリアや得意な物件種別が異なるため、自分のマンションに強みを持つ会社を見つけられる可能性も高まるでしょう。
ただし、あまり多くの会社に査定を依頼すると、その後の営業電話の対応に苦労することもありますので、査定の依頼は3社程度にするのがよいと思われます。
5.マンション査定を受ける流れ

実際にマンションの査定を受ける際の標準的な流れは、以下の3ステップです。
- マンションの売却相場を調べる
- 訪問査定を受ける
- 最終的な査定結果を比較して不動産会社を選ぶ
(1)マンションの売却相場を調べる
査定を依頼する前に、自分でマンションの売却相場を調べましょう。
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」やレインズの「マーケットインフォメーション」では、過去の成約事例を無料で閲覧できます。
あくまで過去の事例にはなりますが、条件の近い物件がどの程度の金額で取引されているかを把握できます。
相場感を把握することで不動産会社のマンション査定が妥当かも把握しやすくなるので、必ずリサーチしておきましょう。
(2)訪問査定を受ける
机上査定を受けたら、金額の妥当性や担当者の対応、その不動産業者の評判などから訪問査定を依頼する不動産業者を決めましょう。
なお、訪問時には以下のような書類を確認することが多いので、事前に用意しておくとスムーズです。
- 登記簿謄本
- 購入時の売買契約書
- 管理規約
- 修繕積立金の収支報告書
必要な書類については事前に不動産業者から連絡があるので、それまでに揃えておきましょう。
(3)最終的な査定結果を比較して不動産業者を選ぶ
複数社の訪問査定結果が揃ったら、査定額・査定根拠・販売戦略・担当者との相性を総合的に比較して、依頼先を決めます。
最も高い査定額を提示した会社が必ずしもベストとは限りません。
最終的な査定額に対する根拠が納得できるものであるか、担当者の信頼性が高いかどうかも重視しましょう。
なお、早期に現金化したい場合には、仲介による売却ではなく、買取業者にマンションを買い取ってもらうことも選択肢の一つです。
6.マンション査定に関するよくある質問

マンション査定に関する代表的な疑問にお答えします。
- マンション査定は本当に無料で受けられますか?
- 査定額と実際の売却価格にはどの程度の差が出ますか?
- 個人情報を出さずに査定を受けることはできますか?
(1)マンション査定は本当に無料で受けられますか?
不動産の査定を有料で行えるのは不動産鑑定士(不動産鑑定業者)に限られます(※)ので、ほとんどの不動産会社では、マンション査定を無料で提供しています。
査定は不動産会社が媒介契約獲得につなげるための営業活動の一環という位置づけですので、売主に費用が発生することはまずありません。
通常の売却目的であれば、無料の査定で十分対応できるでしょう。
(※)不動産鑑定士による正式な「不動産鑑定評価」を依頼する場合は、20万〜30万円程度の費用がかかります。
(2)査定額と実際の売却価格にはどの程度の差が出ますか?
一般的に、査定額の±10%程度の範囲で成約するケースが多いとされています。
例えば、査定額が5,000万円であれば、4,500万〜5,500万円程度が現実的な成約の目安です。
(3)個人情報を出さずに査定を受けることはできますか?
匿名でAI査定を受けられるサービスを利用すれば、個人情報を出さずに概算価格を把握できます。
例えば、住所・築年数・面積などの基本情報の入力のみで結果を得られます。
また、一般的な査定サイトのように、いきなり営業電話が来ることもありません。
ただし、匿名査定は精度に限界があるため、本格的に売却を検討する段階では実名での机上査定や訪問査定が必須です。
まとめ
マンション査定は、売却活動を始めるうえで欠かせない第一歩です。
AI査定・机上査定・訪問査定の三つの方法から目的に合った手段を選び、立地・築年数・階数・面積・管理状態といった評価ポイントを意識すれば、納得感のある査定結果を引き出せるでしょう。
査定額はあくまで予想値であり、根拠の確認や複数社比較を通じて適正な売出価格を見極めることが大切です。